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ID番号 01239
事件名 従業員地位確認等請求控訴事件/同附帯控訴事件
いわゆる事件名 日立製作所事件
争点
事案概要  労働協約・就業規則に従業員に残業を命じうる旨の規定がありかつ三六協定が締結されている事情の下で残業命令を再三にわたり拒否し数回懲戒処分に付されたが悔悟の見込がないとして懲戒解雇された被控訴人が地位確認等を求めた事例(一審認容、控訴認容)。
参照法条 労働基準法36条
体系項目 労働時間(民事) / 時間外・休日労働 / 時間外・休日労働の義務
裁判年月日 1986年3月27日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (ネ) 1384 
昭和53年 (ネ) 2366 
裁判結果 取消 棄却(上告)
出典 時報1185号153頁/タイムズ594号125頁/労経速報1250号3頁/労働判例472号28頁
審級関係 一審/01229/東京地八王子支/昭53. 5.22/昭和46年(ワ)200号
評釈論文 ・季刊公企労研究67号103~105頁1986年6月/砂山克彦・労働法律旬報1151号23~29頁1986年9月10日/新谷眞人・季刊労働法140号221~224頁1986年7月/川口巖・労働法律旬報1145号60~62頁1986年6月10日/長淵満男・昭和61年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊887〕209~211頁1987年6月/道幸哲也・判例評論332〔判例時報1201〕60~64頁1986年10月/野田進・ジュリスト906号98~101頁1988年4月15日
判決理由 〔労働時間-時間外・休日労働-時間外・休日労働の義務〕
 このように当該労働協約及び就業規則において、業務上やむを得ない事由のある場合には、控訴人は従業員に時間外労働をさせることができる旨の定めがされ、かつ、いわゆる三六協定が締結されているときは、控訴人は、右三六協定所定のやむを得ない事由のある場合には、時間外労働を命ずることができ、当該従業員はこれに従い時間外労働を行う義務を負うものと解するのが相当である。
 (中略)
 (なお、右三六協定は、延長すべき時間について、月間延べ時間とはいえ一応具体的に明示されているうえ、時間外労働を必要とする事由についても、右(1)ないし(4)の各項目は、それぞれ具体的事由が明示されているから特段不相当とはいえず、また、右(5)ないし(7)の各項目も、いささか概括的な規定内容ではあるけれども、前判示のような被控訴人の具体的な業務内容に徴すると、被控訴人に対し予測困難な残業の内容及び時間を一方的かつ無限定に課する結果となるものとは認められず、また、控訴人の企業経営上、製品の需給関係の変化に即応して生産計画を適正円滑に実施する必要性等を考慮するときは、右(5)ないし(7)の各項目のような規定方法によるもやむを得ないものであり、これをもって控訴人に残業の内容を指定して時間外労働を命ずる権限を包括的に委ねるものであるというべく、右規定を不相当であるということはできない。)。