全 情 報

ID番号 01264
事件名 時間外割増賃金請求事件
いわゆる事件名 福運倉庫事件
争点
事案概要  貨物自動車運転手に対する歩合給および助手をつけずに乗務した場合に支給されるワンマン手当が、時間外割増賃金の基礎となる賃金に該当するか否か、が争われた事例。(請求認容)
参照法条 労働基準法37条
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 割増賃金の算定基礎・各種手当
裁判年月日 1977年5月17日
裁判所名 福岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和48年 (ワ) 427 
裁判結果 認容
出典 労働判例278号21頁
審級関係
評釈論文
判決理由  二 ワンマン手当の支払条件について、(人証略)原告本人Xの各供述に後記車種別ワンマン手当金額の内容、被告代表者本人の供述の一部に弁論の全趣旨をあわせると、被告のワンマン手当は、昭和四二年頃から設けられたが、運転手がひとりで、被告の従業員である他の運転手又は助手が同乗せずに、貨物運送業務に従事した場合、所要時間、運送貨物量、運送回数、貨物の積み降し(荷役)に現実に従事したかどうかなどを問わず、一日ごとに後記の車種別の金額を支払うものであった。被告代表者本人、(人証略)の供述中、この認定に反する部分は措信できない。他にこの認定を左右するに足る証拠はない。
 (中 略)
 本件ワンマン手当についての時間外割増賃金の算定について前述の事実関係にてらすと、これが規則第一九条一項六号(出来高払制その他請負制によって定められた賃金)にあたるという被告の主張は採用できない。原告はこれをもって同第二項の「休日手当その他前項各号に含まれない賃金」と主張するが、本件ワンマン手当支払条件に関する前記の事実関係並びに(証拠略)をあわせると、本件ワンマン手当の時間外割増賃金の計算については規則第一九条一項二号の「日によって定められた賃金」に含まれるものと解するのが相当である。従って、割増賃金は、ワンマン手当の金額を一日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異る場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除した金額を、延長された労働時間数に乗じて通常の労働時間の賃金を求め、それに所定の割増率(本件の場合は《証拠略》就業規則第二五条によって二割五分)を乗じた金額を加えて求めることができる。
 (中 略)
 3 歩合給とその時間外割増賃金
 原告らに支払われた歩合給が、別表1ないし5の各(D)欄の通りであることは、当事者間に争いがない。そうしてさきに認定の原告らの業務、賃金構成、その支払方法、被告代表者本人の供述及び弁論の全趣旨によると、本件歩合給についても当然時間外割増賃金支払の対象となるべく、それが一月単位をもって計算される限り規則第一九条一項六号の適用については、右認定の月間歩合給総額を月間総労働時間即ち前記認定の二〇五・六時間に前記認定の当該月の時間外勤務時間を加えた時間数で除した金額に〇・二五を乗じてその月の歩合給に関する一時間当りの勤務時間外割増賃金額を求めることとなる。