全 情 報

ID番号 01283
事件名 譴責処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 東京都教育委員会事件
争点
事案概要  教員の行なう宿直労働が、労働基準法四一条三号にいう断続的労働に当るかが争点となった事例。(肯定)
参照法条 労働基準法41条3号,32条
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 宿日直
裁判年月日 1963年10月12日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和32年 (ネ) 1902 
昭和32年 (ネ) 1912 
裁判結果 棄却(確定)
出典 高裁民集16巻8号612頁/行裁例集14巻10号1888頁/時報366号47頁/東高民時報14巻10号278頁/教職員人事関係裁判例集3号13頁
審級関係
評釈論文 外尾健一・新版労働判例百選〔別冊ジュリスト13号〕94頁
判決理由  労働基準法(以下単に法という)第四十一条第三号の一断続的労働に従事する者」とは断続的労働を本来の業務とする者のみを指称し、本来の業務の外に宿直として断続的労働に従事する者を包含しないものと文理上解釈しなければならないものとはいえない。また法第四十一条第三号が「監視又は断続的労働に従事する者」につき特則を設けた趣旨が、かかる労働を他の実労働と労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用を同じくすることをもって均衡を失するものとするに出ずることはこれを窺うに十分であるが、このことから直ちに、本来の業務の外に宿直としての断続的業務に従事する者が、右法第四十一条第三号の規定に該当しないものと断ずることはできない。従って労働基準法施行規則(以下単に規則という)第二十三条が法第四十一条に基づくものと解することを妨げるものではない。規則第二十三条が法第四十一条の規定に基づくことを明示していないことによってはもとより、規則第二十三条が定められている位置が労働時間に関する規定の部分におかれているといって、右の解釈を左右するものではない。けだし右規則第二十三条は、本来の業務の外に宿直として断続的業務に従事する者につき、本来の業務が断続的である場合とは別異に取扱い、法第三十二条の適用の除外のみを定めるものであり、その関係上同じく法第四十一条の規定に基づく規則第三十四条と規定の位置を異にするものと解せられるからである。
 (中 略)
 法第四十一条は同条各号の一に該当する労働者については法の定める労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しないことができる旨を定めたものと解するを相当とし、同条各号の一に該当する労働者について労働時間、休憩、休日に関する法所定の原則規定を適用することを敢て禁ずる趣旨ではないと解されるから、規則第二十三条が労働時間についてのみ法第三十二条の適用を除外する旨を定めたものと解するからといって、同条が法第三十二条に違反しないのはもとより、憲法第二十七条に違反するものとはいい難い。