ID番号 | : | 01287 |
事件名 | : | 損害賠償等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 高田機工事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 一昼夜交替制による二四時間隔日勤務の工場警備員が、休日、時間外、深夜労働についての割増賃金および損害賠償を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法37条,41条3号 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 割増賃金 / 割増賃金の算定方法 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 監視・断続労働 |
裁判年月日 | : | 1975年3月31日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和39年 (ワ) 4830 昭和40年 (ワ) 1005 昭和41年 (ワ) 113 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集26巻2号210頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 秋田成就・ジュリスト613号115頁 |
判決理由 | : | 〔賃金―割増賃金―割増賃金の算定方法〕 右事実によれば、被告は原告ら警備員に対しては、昭和三三年四月一日から昭和三七年三月三一日までの間、前記職員賃金規則九条九号の深夜業手当(これが法の定める深夜業増割賃金に該当することは明らか)に代るものとして、前記守衛手当、残業手当を支給してきたものと認めざるを得ない。 右事実関係に基き、原告の深夜業割増賃金(二割五分の最低額)を計算すると、(中 略)。 右深夜業割増賃金の額は、むしろ原告の受給した前記守衛手当、残業手当の額を下廻るものであつて、被告のなした措置に不当はないことになる。 〔労働時間―労働時間・休憩・休日の適用除外―監視・断続労働〕 右(1)、(2)認定事実によれば、原告の労働は、原則的に一定の部署に滞在して監視する業務を主体とし、かつ、右監視業務は、常態として、その身体および精神的緊張度の少ないものであつたといいうるし、工場内巡視についてみても、一昼夜二四時間中に三、四時間程度であるから、実労働時間に比し手待時間が非常に多かつたというに妨げなく、結局原告の労働は、法四一条三号にいう監視または断続的労働に該当するものであつたと解するのが相当である。 右認定事実によれば、被告は佃工場の警備員の勤務について、昭和三〇年一〇月頃法四一条三号所定の許可を受けたことが明らかである。 (中 略) 法四一条三号を受けた労働基準法施行規則三四条は、使用者は従事する労働の態様および員数について、所轄労働基準監督署長より許可を受けなければならない旨を規定しているから、許可後に「従事する労働の態様および員数」に変化が生ずれば、使用者は許可を受け直すべきものであるが、実質的にみて労働の態様が従前と変化がなく、若干の差異はあつても労働密度が薄くなるなどむしろ労働者側に有利に変つた場合のごときは、従前の許可は直ちにその効力を失うものでないと解するのが相当である。 (中 略) 原告が佃工場警備員として従事した労働はすべて監視または断続的労働であり、かつ、右労働につき法四一条三号所定の許可が存在したのであるから、原告は被告との前記労働契約に基づき、前記三交替勤務または二交替勤務に従事する義務があつたことになり、反面被告は原告の右労働に対し休日出勤手当、同割増賃金、時間外手当、同割増賃金を支払う義務はなかつたことになる。 |