ID番号 | : | 01298 |
事件名 | : | 懲戒処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 北九州市病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 年末・年始の休日の勤務命令に従わず出勤しなかったとして減給等の懲戒処分に付された原告らが処分の取消を求めた事例。(棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法32条,35条,36条 |
体系項目 | : | 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 宿日直 |
裁判年月日 | : | 1982年5月12日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和53年 (行ウ) 15 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | タイムズ477号174頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | ところで、労基法三二条には労働時間の制限、同法三五条には休日(いわゆる週休制による休日)についての定めがあるけれども、週休制による休日以外の休日(いわゆる法定外休日)に労働者を労働させる場合に関しては、労基法に何らの規定がなく同法による規制が及ばないから、企業管理者の制定した就業規程ないしは労働協約に法定外休日勤務に関する定めがある場合には、労働条件の基準として個々の職員の同意なくして勤務関係の内容となり職員が法定外休日労働義務を負うことになると解するのが相当である。そして、法定外休日労働について就業規程ないしは労働協約において、日時、労働内容、労働すべき者が具体的に特定されている場合には企業管理者の休日出勤命令をまつまでもなくそのとおりの休日労働義務が生じるが、概括的一般的な労働義務が定められているにすぎないときは、企業管理者の出勤命令によつて休日労働義務が生ずるというべきである。この場合、出勤命令により労働を命じられた職員に損失を生ずることもあるであろうから、休日労働を命ずるに当つては、職員の個人的利益を考慮する必要のあることはいうまでもなく、職員に出勤できないことについてのやむを得ない事由があるときは右休日労働の義務を免れることができるけれども、職員は、休日出勤命令を受けた後、休日労働の義務を免れるためには右のようなやむを得ない事由の存在について企業管理者に対し告知することが必要である。なお、職員の告知した事由が出勤しないことについてのやむを得ない事由に該当するか否かは、法定外休日出勤を命ずる企業管理者側の必要性と職員の拒否事由の合理性との利益衡量によつて判断するのが相当である。 そして、企業管理者が労基法施行規則二三条により宿日直の許可を受けている場合には、労基法三六条の協定や個々の職員の同意がなくても休日に職員に対し宿日直を命ずることができ、当該職員がその宿日直義務を免れるためには右と同様の手続と理由を要するものと解するのが相当である。 |