ID番号 | : | 01301 |
事件名 | : | 賃金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | ケー・アンド・エル事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | アート・ディレクターとして雇用されたが退職し帰国することとなった外国人労働者が、休日労働に対する割増賃金と約定されていた帰国のための荷物輸送費の支払を求めた事例。(一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法37条,41条2号 |
体系項目 | : | 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 管理監督者 |
裁判年月日 | : | 1984年5月29日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和57年 (ワ) 11684 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例431号57頁/労経速報1205号43頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 山口浩一郎・労働経済判例速報1220号22頁/西村健一郎・季刊労働法134号107頁 |
判決理由 | : | ここにいう監督若しくは管理の地位にある者とは、労働時間等の規制の枠を超えて活動することが要請されざるをえない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にある者を指すと解され、その判断の基準としては、労務管理方針の決定に参画し、或いは労務管理上の指揮権限を有し、経営者と一体的な立場にあること、自己の勤務について自由裁量の権限を持ち出社退社について厳格な制限を加え難いような地位にあること、その地位に対して何らかの特別給与が支払われていること等を考慮して、具体的な勤務の実態に即して決すべきものである。 (中 略) 以上の認定を前提として考えると、原告はコピー部長の指揮監督を受けて、広告の視覚に訴える部面の製作に従事していたもので、その製作の過程において技術者を指揮監督することはあったものの、労務管理方針の決定に参画し、或いは労務管理上の指揮権限を有し、経営者と一体的な立場にあったとはいえないこと、また、原告の職務の内容は勤務時間について厳格な規制を加えるのには必ずしもふさわしくないが、出退勤については、タイムカードが使用され、遅刻や休日出勤についてタイムカード上明確にされており、上司からも遅刻について注意をされたことがあるなど、原告に対し勤務時間についての管理が行われていたと認められること、原告の賃金については、原告が従前得ていた収入を参考として決定されたもので、監督若しくは管理の地位にあることに対する特別な給与が支払われていたとは認められないこと、更に、雇用契約の締結に際し、休日に勤務した場合には代替の休日が与えられることが約されたこと、以上の事実を総合してみると、原告は、監督若しくは管理の地位にある者であったと認めることはできないといわなければならない。 |