ID番号 | : | 01327 |
事件名 | : | 時間外勤務手当及び同付加金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 鹿屋市笠野原小学校事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 市立小学校の教職員らが、日曜日に催された陸上記録大会へ参加し八時間勤務に就いたとして、休日労働の割増賃金と附加金の支払を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法35条2項 |
体系項目 | : | 休日(民事) / 休日の振替え 休日(民事) / 変形休日制 |
裁判年月日 | : | 1973年2月8日 |
裁判所名 | : | 鹿児島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和43年 (ワ) 49 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 時報718号104頁/訟務月報20巻2号9頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔休日―休日の振替え〕 ところで、労働基準法は地方公務員法第五八条第三項によって定められている適用除外規定以外は原告ら公立学校教職員にも適用されるものであり、鹿児島県学校職員休日休暇勤務時間条例第三条の「日曜日は勤務を要しない日とする。」という規定が、労働基準法第三五条第一項の週休制の原則を定めた規定の趣旨にしたがった規定で、労働者としての教職員の利益保護を目的とした規定であることは明らかであるが、労働基準法には、休日を予め特定すべきことを定めた規定、休日の振替を禁止した規定はいずれもなく、同法第三五条第二項によって、週休制の原則を定めた同条第一項の規定は訓示規定と解されることからすれば、予め特定曜日を毎週休日とするという休日特定の利益は、労働者の同意を得た場合においてもなお失わせることができない利益であるとはいえないから、前記条例に休日振替についての明文の規定がないけれども、少くとも個々の教職員の同意を得た場合においては、労働基準法第三五条第二項の制限の範囲内で休日の振替を行うことはできるものと解するのが相当である。 (中 略) 校長は職員会議を開き、同校全教職員が出席した右職員会議において、右大会参加のため休日を一〇月三〇日に振替え、一〇月二九日を出勤日とすることを諮ったところ、一部教職員から、右大会が日曜日に開催されることは教職員の勤務のうえで好ましくないとの意見が出されたが、右大会に参加するため一〇月二九日の休日を一〇月三〇日に振替えることについては別段反対意見は出されなかったので、同校長は休日振替に異議がないものと認め、右の休日振替を決定し、一〇月二八日鹿屋市教育委員会にその旨の届を出した。一〇月二九日は同校長の指示により笠野原小学校では、大会出場選手たる一部児童および引率教職員若干名が直接右大会に参加したほかは、第一時限のみ正規の授業を行い、第二時限以降は正規の授業にかえて教職員および四年生以上の児童は応援のため右大会に参加し、三年生以下の児童は帰宅した。 以上の事実が認められ(る。)《証拠判断略》 右認定事実および原告らが振替休日と指定された一〇月三〇日は勤務をしなかったこと(この事実は当事者間に争いがない。)によると、原告らはいずれも右休日の振替に対して予め明示もしくは黙示の同意をしたものといえるから、原告らについてなされた昭和四二年一〇月二九日と同月三〇日との休日振替は適法になされたものということができる。 〔休日―変形休日制〕 原告らは、右休日の振替は四週間を通じて休日を三日しか与えないことになるから、労働基準法第三五条第二項に違反すると主張するが、同法条にいう四週間を通じて四日以上の休日とは、どの四週間を区切っても四日以上の休日が与えられていなければならない趣旨ではなく、特定の四週間に四日の休日が与えられていれば足りると解されるところ、右休日の振替によっても原告らは一〇月二九日を始期とする四週間に四日の休日を与えられていることが明らかであるから、原告らの右主張は採用の限りでない。 |