全 情 報

ID番号 01329
事件名 賃金支払請求事件
いわゆる事件名 大成宇部コンクリート工業事件
争点
事案概要  国民の祝日に関する法改正で、祝日が日曜と重なる場合翌日が休日とされたが、当日に欠勤した従業員らが賃金カットを受け、出勤した従業員らが割増賃金を支給されなかったので、就業規則の休日規定を根拠として、右賃金額の支払を請求した事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法35条
体系項目 労働時間(民事) / 法内残業 / 割増手当
裁判年月日 1974年6月14日
裁判所名 広島地
裁判形式 判決
事件番号 昭和48年 (ワ) 900 
裁判結果 棄却(確定)
出典 時報750号99頁
審級関係
評釈論文 山本吉人・判例評論192号31頁
判決理由  《証拠略》によれば被告会社の就業規則第二二条において従業員の休日を日曜日、国民の祝日、年末年始(一二月三一日から一月四日まで)、うら盆(八月一五日、一六日)、創立記念日、その他会社が必要とする臨時休日と定め、同規則第二三条に右休日については労働日の賃金の計算額の二割五分の率で計算した割増賃金を支払う旨定めていることが認められる。
 原告は右九月二四日が国民の祝日としての休日であるから被告会社は原告らのうちX1、X2に対して賃金カットをなしえずその余の原告らに対しては二割五分の賃金を支払わねばならないと主張するので判断するに、前記改正法の趣旨は国民の祝日が日曜日と重なった場合、ややもすると日曜日としての休息に重点が置かれ国民の祝日を記念し喜ぶ意義が薄れるおそれのあることに配慮し、日曜日の翌日を休日としたものと解せられ、右翌日はもとより国民の祝日でもなく日曜日でもなく又いずれかが繰延べられたものでもない改正法によって特別に設けられた休日と解するのが相当である。
 従って右九月二四日は前記就業規則第二二条に規定する休日に該当するものとはいえない。
 右九月二四日を被告会社の休日とすることは就業規則の改正個別的労働契約もしくは労働協約の締結等被告会社内部における使用者の意思、及び労使間の交渉によって定められるべき問題であって前記改正法の施行に伴い政府が中小企業等に対しても労働政策上休日化を奨励することがかりにありえても企業ないし国民生活の実態は区々であるから労働基準法に反しない限り強制しうる場合のものではなく改正法の施行により当然に右九月二四日が被告会社の就業規則第二二条に規定する休日に該当することになると解釈するのは正当でない。