ID番号 | : | 01330 |
事件名 | : | 休日の就労義務不存在等地位保全申請事件 |
いわゆる事件名 | : | イーシーシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 「週休二日制を実施する。」という労働組合との覚え書きにつき、週休二日制とは年間の休日が平均して週二日になれば足りる趣旨であるとし、完全週休二日制を実施しなかった使用者に対して、従来の就業規則の休日に加えて各週につき更に一日休日を有するという仮の地位の保全が求められた事例。(請求一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法2章,35条 |
体系項目 | : | 労働時間(民事) / 法内残業 / 残業義務 |
裁判年月日 | : | 1978年9月29日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和53年 (ヨ) 2265 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 時報919号104頁/労経速報994号3頁/労働判例306号12頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | (一)前記覚書は「組合」と使用者である被申請人との間で休日等の労働条件に関し、書面に作成され、両当事者が記名押印したものであるから労働組合法一四条にいう労働協約であり、右協約内容は「組合」所属組合員である申請人らと被申請人間の雇用契約の内容となるに至ったということができる。 ところで一般に隔週週休二日制、月三回週休二日制、完全週休二日制などを総称して週休二日制といわれているが、とくに限定のない場合は完全週休二日制をいうと解されること、前記二、(四)のとおり被申請人も休日数自体については週二日の休日が確保された場合の休日数と同日数を前提にしてフレックス制度を提案していること、及び協約締結前の団体交渉及びその後の団体交渉において被申請人が週五日働けばよい趣旨であると言明していたことに照らせば、右覚書四項にいう週休二日制は文字通り限定のない完全週休二日制をさすといわねばならない(被申請人はこの点に関して年間休日が平均して週二日になる趣旨であったと主張するが、かく解すべき疎明はなく「週休二日制」の通例の用法に反して到底採用できないところである。)もっとも同項には週休二日制の具体的な実施方法については規定されておらず、前記二、(三)、(四)の覚書締結前後の団体交渉の経緯をみれば、実施方法の細目については労使間の協議により決定されることになっていたということができるが、同項は昭和五二年度については暫定的な特別休暇を設けて移行期間とし、「昭和五三年四月から週休二日制を実施する。」旨明定しているのであるからたんに週休二日制度実施について「組合」と協議し、決定するとの被申請人の方針、姿勢を示した、いわばプログラム的規定にとどまるものではなく、少なくとも使用者たる被申請人において同月以降「組合」所属組合員に対して週に二日の休日を設けて五日以上は就労させないとの義務を規定したものと解するのが相当である。 以上のとおり覚書四項の趣旨、覚書締結に至るまでの経緯等を総合考慮すれば、覚書四項は従来の就業規則による休日を維持、前提としながら週二日の休日のない週については新たに日曜日のほか一日の休日を設けて少なくとも週二日の休日を保障する趣旨で結ばれたというべく、被申請人は、申請人らとの雇用契約上、従来の休日を遵守し、また週二日の休日のない週については新たに一日の休日を設けて五日以上就労させてはならない義務を負うに至ったというべきである。(申請人ら主張のように従来の就業規則の休日に加えて更に各週に一日の休日を設定すべき旨解することは右覚書締結の経緯と極めて多くの休日の設定により被申請人の業務活動を不能ならしめるおそれがあることに照して採用することができない。また週休二日制は土曜、日曜を休日とするのが一般であるが、勿論覚書四項から土曜日を休日としている旨特定することはできないし、前記二、(三)の被申請人挿入部分が削除された経緯によれば被申請人にとって土曜日等の一斉休日を前提とする週五日勤務制とするかは対A合労との関係もあり営業政策上も重要な問題であったことが窺われるから新たな休日の選択、設定方法等は使用者たる被申請人に任されているといえる。)。 |