全 情 報

ID番号 01332
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 宝塚市職労事件
争点
事案概要  条例により日曜、休日の勤務に対し与えられる代休および市制施行記念日としての特別休暇の日時を指定し承認を得ていた市職員らが、右各当日休暇闘争に参加したことを理由に右休暇の取消と賃金カットを受けたのに対し、カットされた賃金の支払を求めた事例。(棄却)
参照法条 労働基準法24条,35条
体系項目 休日(民事) / 代休
裁判年月日 1983年9月30日
裁判所名 神戸地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (行ウ) 25 
裁判結果 棄却
出典 労働判例423号57頁/労経速報1185号3頁
審級関係
評釈論文 山口浩一郎・労働判例426号4頁/新谷淳二・地方公務員月報248号39頁/野田進・ジュリスト860号126頁
判決理由  代休の根拠規定である本件規則七条は、本来勤務を要しない日とされている日曜日もしくは休日に勤務させた職員に、その代替として休暇をとる権利を認めたものと解される。したがって、代休は、日曜日もしくは休日に勤務したという要件をみたした職員にその権利として生じ、任命権者はこれを与える義務を負うのであって、右の要件をみたした職員が特定の日時を代休として指定することにより、任命権者が事業の正常な運営を妨げることを理由として拒否権を行使しない限り、代休は成立し、その日時における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。すなわち、代休の成立要件として任命権者の承認は必要でないというべきであり、現実にされる「承認」は、拒否権を行使しない旨の意思表示であると解される。
 そしてまた、代休は日曜日もしくは休日の代替であるから、一般の休日と同様、職員がその時間をいかなる目的に利用しようとも自由であり、任命権者が代休の利用方法について干渉、介入することは許されないものと解すべきである。したがって、代休の承認取消を代休の効果を事後に否定する趣旨の意思表示であると解するとしても、職員が代休の時間中に行った行為を理由として、任命権者が後に承認を取消して代休の効果を否定することは許されないものというべきである。