ID番号 | : | 01359 |
事件名 | : | 懲戒処分取消等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 福島電報電話局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者のなした懲戒処分の理由である「欠勤」につき、年次有給休暇の時季指定をしていたとして、右解雇の取消を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法39条4項,89条1項9号 |
体系項目 | : | 年休(民事) / 時季指定権 / 指定の方法 年休(民事) / 時季変更権 |
裁判年月日 | : | 1979年6月25日 |
裁判所名 | : | 福島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和47年 (行ウ) 8 |
裁判結果 | : | 一部却下 一部棄却(控訴) |
出典 | : | 時報956号115頁/労働判例323号48頁/訟務月報25巻11号2809頁 |
審級関係 | : | 控訴審/01364/仙台高/昭59. 7.18/昭和54年(行コ)4号 |
評釈論文 | : | 秋田成就・ジュリスト714号125頁 |
判決理由 | : | 〔年休―時季指定権―指定の方法〕 被告は年休の時季指定権は行使上も一身専属的であり、代理に親しまず、仮に代理に親しむ余地があるとしても、年休の行使の時季、その始期終期など基本的事項についての原告の意思決定とそれに基づく明確な委任を欠き無効である旨主張する。そして時季指定権がその性質からみて行使上も一身専属的な性格を有し代理に親しまないことは被告主張のとおりである。しかしながら、他の者が時季指定の意思表示の補助をなすことまで許さないものと解すべきでなく、本人と補助者との間の委任関係の内容によりその効力の有無を決すべきものと解するを相当とする。 〔年休―時季変更権〕 以上の各事実からみると、原告の本件年休の時季指定はいずれも加入電信係の事業の正常な運営を妨げるものということができる。即ち、原告が一一月二四日欠勤すると、当日予定されていた開通工事に原告に代えて他の一名をあてることになり(実際はAをあてた。)、自局要員が一名となり、外部修理にはB整備課長か、他の係の係員がこれにあたらざるをえないことになる(実際にはB整備課長があたった。)から、事業の正常な運営を妨げることは明らかである。 もっとも、原告はB整備課長も通常外部修理にあたっていた旨主張し、《証拠略》中には右主張にそうが如き記載ないし供述が存するが、《証拠略》によれば、B整備課長は主に修理の時間が昼の休憩時間又は午後五時以降にかかるおそれのある場合に外部修理を担当していたことが認められるので、右記載ないし供述をもって直ちに右主張事実を認めることはできない。 次に、原告が一一月二五日午後三時四五分以降一二月一〇日まで(但し、一二月四日五日を除く。)欠勤すると、一一月二九日三〇日予定されていたC、Dの開通工事に他の係から応援を求めざるをえないし(実際整備係Eの応援を求めた。)、一二月一日からの予備機の修理を急がないと、外部に開通工事用の新品を使用せざるをえなくなり(実際には新品二台を使用した。)、一二月六日から同月一〇日までの定期巡回も予定どおり行うことが困難になる(実際は定期巡回を延期した。)おそれが十分に予見しえたから、このように特に繁忙な時期に年休の時季指定をすることは明らかに事業の正常な運営を妨げるというべきである。 |