ID番号 | : | 01378 |
事件名 | : | 懲戒処分無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 山形電報電話局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 無断欠勤ならびに反戦青年委員会の一員としての電話局に対する抗議行動における暴言暴行を理由として、停職処分に付せられた職員が、懲戒処分無効確認等を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法39条4項 |
体系項目 | : | 年休(民事) / 時季変更権 |
裁判年月日 | : | 1976年5月31日 |
裁判所名 | : | 山形地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和45年 (ワ) 338 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 時報834号94頁/訟務月報22巻6号1638頁 |
審級関係 | : | 控訴審/03257/仙台高/昭55. 4.28/昭和51年(ネ)212号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 労働者の年休は、労働者がその有する休暇日数の範囲内で休暇の始期と終期を特定して時季指定をすることによって成立し、およそ使用者の承認の観念を容れる余地はなく、ただ右指定時季に年休を成立させることが事業の正常な運営に支障を来す事情が客観的に存在し、且つこれを理由として使用者が時季変更権を行使した場合には年休は成立しないものと解するのが相当である(労働基準法三九条)。 (中 略) 使用者の時季変更権成立のためのいわば正当事由は、使用者の事業の正常な運営を妨げる事情(労基法三九条三項但書)であるところ、労働者の年休制度の実質的保障を考慮すると、本件においても、原告の欠勤が単に原告の所属する部課限りの業務遂行上の支障を招来する事情、あるいは単に業務を多忙にする事情にとどまる場合は右正当事由に該当しないというべきであって、原告の使用者である被告公社の事業そのものの運営上に支障を来す事情と評価されるものでなければならない。すなわち、本件では、被告公社は電報の送受信業務の支障を主張するところ、被告公社が国民から付託を受け電気通信事業を営む公共企業体であり、原告が被告公社の一地方局である山形電報電話局運用部受付通信課通信担当係に勤務し、同担当係が電報の送受信を業務内容としていることは当事者間に争いがないところであるから、被告公社が業務上支障事由とする原告の欠勤が、山形局の管轄区域内の電報利用者の信用ないし信頼に応え得る迅速且つ正確な電報取扱業務に支障をもたらす事由と認められる場合でなければならない。 もっとも、右支障事由の存在は、その判断が事前のもので且つ判断権者が法律上使用者に委ねられていることや、多くの場合使用者側で無理をしてでも欠員の補充をし、あるいは残余作業員が欠勤者の担当業務を補ってしまう等のため、現実に事業の運営に支障が生じることは少ないと考えられるから、結局右支障発生の蓋然性を窺わせる事情が存在すれば足りるというべきである。 |