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ID番号 01405
事件名 賃金請求控訴事件
いわゆる事件名 国鉄郡山工場事件
争点
事案概要  有給休暇の承認があったが争議行為に利用されることが判明したためその成立が否定され、欠勤として賃金カットされたので、その支払を求めた事例。
参照法条 労働基準法39条
体系項目 年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 年休利用の自由
年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1966年9月29日
裁判所名 仙台高
裁判形式 判決
事件番号 昭和39年 (ネ) 448 
裁判結果
出典 労働民例集17巻5号1240頁
審級関係 上告審/01340/最高二小/昭48. 3. 2/昭和41年(オ)1420号
評釈論文
判決理由  労働基準法第三九条の有給休暇制定の趣旨は、労働者の労働による肉体的、精神的疲労を回復し、労働力の維持培養を図るとともに、労働者に人たるに値いする生活を得しめんとするにあり、その実効を挙げるため特に有給としたものと解すべきところ、その本質的趣旨に鑑みるときは労働者が有給休暇をどのように利用するとも原則としてその自由であるというべきである。しかし、有給休暇を争議行為に利用できるか、どうかについては、別に一考を要する問題である。思うに、労働者は、労働契約に基づき、労務供給に対する対価として使用者から賃金を受けるものであるから、労務の供給のないところに原則として賃金の支払いがないのであるが、有給休暇により有給のままで権利として労務供給の義務を免れるのがこの制度なのである。ところで、業務の正常な運営を阻害するストライキ(同盟罷業)の本質は、労働契約上負担する労務供給義務を組織的に一時不履行することにあると解すべきであるから、労働者は、ストライキに参加することにより、その間の賃金を受け得ないものというべきである。これによれば、労働者が継続勤務し、労務の継続的供給があって、有給休暇の存在意義があり、また正当に賃金の支払を受け得るのである。したがって、有給休暇は、労使間に労務の供給、対価としての賃金の支払を根幹とする正常な労使関係の存続することを前提とするものであり、ストライキは、一時これを破るものであるから、有給休暇制度の本質的趣旨とストライキの本質とを対比して考えると、両者は両立し得ない別個の体系に属するものであって、労働者は、有給休暇を争議行為に使用する目的で使用者に対し、右休暇の請求をすることはできないものというべきである。