全 情 報

ID番号 01415
事件名 懲戒処分無効確認請求事件
いわゆる事件名 日本国有鉄道事件
争点
事案概要  合理化計画に反対する動労から指示を受け、時限ストや順法闘争を指導したこと、および、一割休暇闘争に参加し、年休を請求し、これが拒否されたのに勤務しなかったことを理由とする国鉄職員に対する懲戒処分(減給、停職)の無効確認が求められた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法39条4項
体系項目 年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1977年6月10日
裁判所名 金沢地
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (ワ) 196 
裁判結果 棄却
出典 時報859号98頁/労働判例286号103頁/労経速報965号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由  年次休暇の権利は、労基法三九条一、二項の要件が充たされることにより法律上当然に労働者に生ずる権利であり、同条三項にいう「請求」とは休暇の時季の指定にほかならず、またその休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由であるけれども、労働者がその所属する事業場の業務の正常な運営の阻害を目的として、一斉に休暇届を提出して職場を放棄、離脱するいわゆる一斉休暇斗争の場合には、それが当該事業場の全労働者によってなされるか、その一部分によってなされるかを問わず、その実質は同盟罷業であって、その性質上、一般の年休請求及びこれに対する使用者の時季変更権のような、業務の正常な運営を前提とした労基法上の制度をもってこれを律することはできない。
 従って、この場合には、使用者側が労基法三九条三項の時季変更権を行使したかどうかにかかわりなく、労働者の休暇請求によっても年休は成立しないものと解するほかはない。
 当事者問に争いのない前記九・一二反合理化斗争の概要によれば、原告らの各年休請求は、動労北陸地本の斗争指令第四号の二による一割休暇戦術に基づくものであり、右戦術は当局側の勢力を分散釘付けにする一方、準拠点地区への助勤等を完全に排除する目的をもっていたのであるから、各休暇請求及び欠勤は、当該休暇請求者の所属する事業場の業務の正常な運営の阻害を目的としていたものであり、その実質は同盟罷業にあたり、年休請求権の行使とは認められないものである。