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ID番号 01422
事件名 懲戒処分無効確認請求控訴事件
いわゆる事件名 日本国有鉄道事件
争点
事案概要  動力車労組の北陸地本が合理化反対のために実施した一二時間の時限ストおよび順法闘争に関して、支部組合役員らが年休請求を拒否されたにもかかわらず欠勤して業務の正常な運営を阻害したことを理由に懲戒処分に付されたことに対して、その処分無効を争った事例。(労働者側の控訴棄却)
参照法条 労働基準法39条4項
体系項目 年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1981年2月18日
裁判所名 名古屋高金沢支
裁判形式 判決
事件番号 昭和52年 (ネ) 112 
裁判結果 棄却
出典 時報1024号120頁/労働判例360号47頁
審級関係 一審/01415/金沢地/昭52. 6.10/昭和44年(ワ)196号
評釈論文 奥山明良・ジュリスト765号133頁/中嶋士元也・中央労働時報683号8頁
判決理由  いわゆる一斉休暇闘争とは、これを、労働者がその所属の事業場において、その業務の正常な運営の阻害を目的として、全員一斉に休暇届を提出して職場を放棄・離脱するものと解するときは、その実質は、年次休暇に名を藉りた同盟罷業にほかならない。したがって、その形式いかんにかかわらず、本来の年次休暇権の行使ではないのであるから、これに対する使用者の時季変更権の行使もありえないというべきである(最高裁判所昭和四八年三月二日第二小法廷判決民集二七巻二号二一〇頁参照)が、右にいう「全員一斉に」とは、当該事業場所属の労働者の全員が一斉に行う場合はもとより、休暇闘争に参加する一定割合の組合員が休暇届を提出する場合(いわゆる何割闘争と呼ばれる場合がこれに該当する。)にも、「一斉に」それが提出されるかぎり、右にいう一斉休暇闘争に含まれると解するのが相当である。
 これを本件についてみるに、控訴人らは、本件争議行為の一手段として、前記認定(原判決理由引用)のとおり、その所属する事業場における業務の正常な運営の阻害を目的とする一割休暇戦術に基づき、予め指定しておいた他の組合員と共に計画的・組織的に全員一斉に年次休暇届を提出し、それぞれの職場の管理者から年次休暇を与えない旨伝達されたのにかかわらず、これを無視し、所属事業場における職場を放棄・離脱したものであって、その実質において、年次休暇に名を藉りた同盟罷業にほかならず、本来の年次休暇権の行使ではないというべきである。
 (中 略)
 次に、控訴人は、本件闘争において業務に影響を与えることは目的とされず、また結果的にも影響はない、従って、年休の申請は、その実質において同盟罷業に当たらないと主張する。
 しながら、控訴人らの各年次休暇の請求は、前認定(原判決理由引用)のとおり、動労北陸地本の闘争指令第四号の二による一割休暇戦術に基づくものであり、右戦術は当局側の勢力を分散釘付けにする一方、拠点地区への助勤等を完全に排除することを目的とするものである。
 ところで、被控訴人の経営する鉄道事業の特殊性からみると、同一企業体に属する各事業所は相互に有機的構成部分をなし、ことに本件闘争における拠点及び準拠点事業所相互間は密接不可分の関係にあるものというべく、ある事業場において不測の事態により機関士等の乗務員の不足を生じ、列車の運行等の業務に支障があるときは、他の事業場の予備充当可能乗務員をもって代替勤務させる等業務の円滑な運営を図る必要のあることはいうまでもない。そして、このような各事業所相互間における協力もまた右各事業所の正常な業務の範囲に含まれるものというべきである。