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ID番号 01448
事件名 賃金請求控訴、同附帯控訴事件
いわゆる事件名 日本シェーリング事件
争点
事案概要  「賃上げは稼働率八〇パーセント以上のものとする」旨の労使間協定に従い昇給等なされなかった従業員らが、会社は年休、生休、産休、労災による休業、争議・団交による欠勤等を右稼働率の算定につき欠勤として算入することは許されないとして、右取扱によらない稼働率算定による賃上げ額の支払等求めた事件の控訴審。(控訴棄却、労働者勝訴)
参照法条 労働基準法39条,65条,67条,68条
民法90条
体系項目 年休(民事) / 年休取得と不利益取扱い
裁判年月日 1983年8月31日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ネ) 719 
昭和56年 (ネ) 1886 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集34巻4号679頁/時報1105号140頁/タイムズ504号202頁/労経速報1163号4頁/労働判例417号35頁
審級関係 一審/03222/大阪地/昭56. 3.30/昭和52年(ワ)1168号
評釈論文 安枝英のぶ・季刊実務民事法6号242頁/安枝英のぶ・判例評論307号199頁
判決理由  以上を総合勘案するに、本件八〇パーセント条項における稼働率算定の基礎とされる原因項目によって、労基法その他法的保障の程度、内容を異にすることから、右条項につき、その不就労の結果、八〇パーセントにみたないものとして昇給請求権発生の成否を考えるについては、なお、個別的に検討すべき面があるけれども、右条項は、年次有給休暇、生理休暇等労基法上権利として是認された休暇であるか等その不就労の原因を問わず、その時間を単純に集積することにより、機械的に賃金引上げの対象者から排除するというものであり、結局、これを総体としてみた場合には、労働者が、右労基法、ないし労組法上の権利等を行使したことを理由として、昇給を停止し、ないしは、この将来におけるこの状態の継続を結果するなど、労働者の将来の労働条件に関する不利益な取扱いを定めたものというべきであり、また、右条項は、実質的に労働者に対し右各権利等を行使して休暇を取得等することを抑制する機能を有しているものというべきであって、本件八〇パーセント条項は、全体として、強行法規である労基法三九条等のほか、労組法七条、憲法二八条の各規定ないしその各規定の趣旨に反し、ひいては、民法九〇条の公序に反するものというべきであるから、右条項の効力は否定されるべきものと解するのが相当である。