ID番号 | : | 01463 |
事件名 | : | 地位保全申請控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 滝上工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 一五歳以上の末成年者の訴訟能力(雇用関係存在確認訴訟および賃金支払請求訴訟)が争われた事例。(肯定) |
参照法条 | : | 民事訴訟法(平成8年改正前)45条 労働基準法58条 |
体系項目 | : | 年少者(民事) / 訴訟能力 |
裁判年月日 | : | 1963年6月19日 |
裁判所名 | : | 名古屋高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和37年 (ネ) 270 |
裁判結果 | : | 取消差戻 |
出典 | : | 労働民例集14巻5号1110頁/時報343号2頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 加藤保三・労働経済判例速報536号3頁 |
判決理由 | : | 民事訴訟法第四五条は、「訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は本法に別段の定ある場合の外、民法その他の法令に従う」旨規定している。民事訴訟法が民法その他の法令に従うのは、実体法上行為能力ある者に訴訟能力を認め、訴訟無能力者の法定代理を実体法に規定する無能力者の法定代理に従わしめることが事柄の性質上当然であるからであって、この範囲において民事訴訟法は実体法に依存している。労働基準法が右第四五条に規定する「法令」に該当することは明かである。その労働基準法は、未成年者保護と親権者の権利の濫用の防止の立場から、法定代理人に対し労働契約の代理締結を禁止し(第五八条)、未成年者の賃金受領の権限を定めた(第五九条)。従って法定代理人は労働契約について代理権を有しなく、労働契約の解除についても同法第五八条第二項にもとづいてのみ解除できるだけであって、同意権を有するに過ぎない。未成年者が法定代理人の同意を得て労働契約を締結した以上、法定代理人は訴訟行為をなすことができなく、未成年者本人が実体法上独立して法律行為を為すことができる場合として、訴訟行為をなすことができる(民事訴訟法第四九条)。未成年者が独立して賃金請求の訴訟行為を為すことができることも勿論である。 |