ID番号 | : | 01470 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 理化学興業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 就業規則の変更につき、労働条件の基準を定める部分については、労働協約によるか労働者の合意が必要として、旧就業規則によるべきとの仮処分申請を一部認容し、外出許可、面会許可、職場離脱の許可については労働条件の基準にあたらないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法90条,93条 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則の法的性質・意義・就業規則の成立 就業規則(民事) / 就業規則の一方的不利益変更 / その他 |
裁判年月日 | : | 1950年12月28日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和25年 (ヨ) 1538 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集1巻6号1078頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 労働基準法第九〇条は使用者が、就業規則を変更するには同条所定の労働組合又は労働者の意見を聴けば足る旨を規定する。しかしながらこの規定は右の手続をふめば就業規則の変更は無制約に許されるものと解さるべきではない。 就業規則中労働条件(以下すべて労働者の待遇に関する条件を含む。)の基準を定める部分は個々の労働契約に対して直律的効力をもつものであるから(同法第九三条)、その変更は労働協約によるか又は労働契約の相手方たる労働者との合意によるものでない限り許されないものと解すべきである。けだしこの事は契約原理当然の帰結である。もっとも、労働契約の本質を単に企業内における従業員たる地位を取得するものに過ぎず、一切の労働条件は挙げて就業規則又は使用者の一方的意思のみにかからしめる契約であると解する見解があるが、かかる見解によれば労働契約とは法律上当然に使用者委せのいわば白地式労働供給契約に過ぎないことを肯認するものであり、社会学的観察としてならばともかく、かくては労働者の人格はもとより近代法的契約関係の存在自身すらも否認するにひとしく、著しく近代法の原則に反するのみならず、労働基準法第九三条の立法趣旨の大半を無価値ならしめるものであるから、かゝる見解には、にわかに賛し得ない。 |