全 情 報

ID番号 01473
事件名 賃金支払請求事件
いわゆる事件名 昭和電工事件
争点
事案概要  就業規則中の賞与に関する規定の変更に対し、旧規則による賞与の支払請求につき、これを棄却した事例。
参照法条 労働基準法90条
体系項目 就業規則(民事) / 就業規則の法的性質・意義・就業規則の成立
就業規則(民事) / 就業規則の一方的不利益変更 / 賃金・賞与
裁判年月日 1954年1月21日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和28年 (ワ) 5443 
裁判結果  棄却
出典 労働民例集5巻1号29頁/タイムズ37号72頁/労経速報125号9頁
審級関係
評釈論文
判決理由  就業規則は使用者が労使関係を組織づけ秩序づけるために設定する法的規範であると解するのが相当であつて、その内容が労働条件その他労働者の待遇に関する部分であつてもこの本質を失う理由はない。労働者の利害からいつても、作業規律等経営指揮権に属する部分と労働条件に関する部分とを区別して取扱うべき理由もなく、両者を厳格に区別することも、実際上は困難である。従つて就業規則の変更についても労働条件に関する部分だからといつて、その部分だけを法律上別異に取扱つて、組合の同意を要すると解すべき法律上及び実際の根拠にとぼしい。わが労働基準法第九十条が就業規則の作成又は変更については労働条件に関する部分と否とを区別せず、就業規則を一体として使用者に作成変更権を認め、ただその作成変更に当り組合の意見を聴き、行政官庁に届け出るべきことを規定しているところから見ても、こう解釈するほかはない。従つて就業規則中の賞与規定が、いわゆる労働条件に当るとしても、少くともわが労働法の解釈としては、その変更自体に組合の同意を要するものとは解されない。