ID番号 | : | 01474 |
事件名 | : | 賃金支払請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 昭和電工事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 就業規則の賞与に関する規定の変更につき、改正前(旧)就業規則の規定に基づく支払請求につき、労働者による控訴を棄却した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条,93条 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則の法的性質・意義・就業規則の成立 就業規則(民事) / 就業規則の一方的不利益変更 / 賃金・賞与 |
裁判年月日 | : | 1954年8月31日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和29年 (ネ) 198 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集5巻5号479頁/東高民時報5巻8号183頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | ところで労働者は使用者との間に一々自己の労働条件に関し個別的の折衝討議を尽した上で、労働契約を締結すべきや否やにつき去就を決するのではなく、予め使用者が一般的に定めて提示する就業規則を一括して受諾し、その就業規則に定めるとおりの、しかして使用者が企業運営の必要に基き就業規則(それ自体本来固定的なものではない)を合理的に変更する場合にはこれによって変更されるとおりの労働条件に従って就労すべき旨、換言すれば使用者側で定めるとおりの賃金その他の労働条件を以て労働力を売り渡す旨を、明示若しくは黙示的に合意するのが一般の事例であって、その結果就業規則に定める労働条件は労働契約の内容をなし、就業規則にして変更されるときは労働契約の内容も亦従って当然に変更を受けることになる。 すべてこれ労働契約における当事者の合意に基礎を置くのである。それ故就業規則の変更が労働基準法所定の手続を踏んでなされた場合でも、それが労働条件に関する限り改めて個々の労働者の承諾を得ない以上無効(不承諾の者に対して相対的に)であるとか、これに同意せざる労働者の労働条件を左右する効力を有しないというが如きは、労働契約において特にその点につき反対の意思を表明した例外的の(実際上は稀有な)場合の外は、到底肯認することができない。 |