ID番号 | : | 01479 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 山田漁業部事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合規約に違反するストライキを実行したことが、就業規則所定の懲戒事由にあたるとされ懲戒解雇された一部原告が、地位保全の仮処分を求めた事例。なお、その他原告は、合意解約の不存在を理由に同処分を求めた。(前者については請求棄却。後者については請求認容) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則の法的性質・意義・就業規則の成立 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1965年6月18日 |
裁判所名 | : | 長崎地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和38年 (ヨ) 28 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集16巻3号490頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 金子晃・季刊労働法58号89頁 |
判決理由 | : | 〔就業規則―就業規則の法的性質〕 就業規則が法規範性を有する説の理論上の有するものとは考えられないが、就業規則は使用者が多数の個別的労働関係を統一的に処理する必要と便宜のため労働契約の内容を一方的に定めるものであって使用者が経済的、社会的優位にあり被用者が従属的地位にある関係で被用者は事実上これに拘束されるものであり、使用者の一方的制定のゆくえに苛酷、不公正なるを防ぐため労働基準法八九条以下の規定によって国家の監督介入を受くべきものとされている。したがって、就業規則の内容は、事実たる慣習として労働契約の一部に当然包含されたものと考えるを相当とする。 〔懲戒・懲戒解雇―懲戒事由―違法争議行為・組合活動〕 本件においては、洋上各所に点在する船舶交互間において主として通信士の専管する無線電信または交信必らずしも良好でない無線電話によって意思を連絡しあい、ストを準備決定実行したというにすぎないから、本件Aの船員すべてが自由に意思を表明した結果操業拒否のストを決定したものと評価することも相当でない。以上の理由によって、本件ストはいわゆる山猫ストとして合法性を欠くものといわねばならない。 (中 略) 以上を要するに、債権者等の三名は本件ストライキにつき、協力してこれを助成し主導し実行したものと認定するを相当とする。 (中 略) したがって債権者三名の以上所為は、店の就業規則八〇条二号三号八号に該当するものというべく、店は昭和三八年一月中旬先船八組が帰港するにしたがい、漁撈長、その他債権者三名を含む船員につき本件ストライキの実情に関し調査の上、同規則八一条三号により懲戒解雇処分をなしたのは相当である。 |