全 情 報

ID番号 01515
事件名 地位確認請求事件
いわゆる事件名 ソニー事件
争点
事案概要  従業員に一定期間勤怠事故がなかったときは一定日数の褒賞が生じ、これを休暇として使用し又は褒賞金として精算できる旨の就業規則規定が褒賞の保有日数に制限を設ける変更を受けたのに対し、従業員らが右変更の適用は受けないとして褒賞の日数を上限なく保有する地位の確認を求めた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法89条,93条
体系項目 就業規則(民事) / 就業規則の一方的不利益変更 / 褒奨休暇
裁判年月日 1983年2月24日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (ワ) 2749 
昭和50年 (ワ) 2750 
昭和50年 (ワ) 6183 
昭和53年 (ワ) 1677 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報1079号106頁/労経速報1145号3頁/労働判例405号41頁
審級関係
評釈論文 手塚和彰・ジュリスト845号113頁
判決理由  以上の(1)ないし(8)の諸事情、すなわち、被告ら会社の従業員が本件規則変更前に享受していた利益は、使用者が一定の取扱いを事実上継続してきたことにより慣行上認められた地位から生じたものにすぎないこと、また右利益は基本的な労働条件に関するものであるということはできないこと、本件規則変更により従業員が被る不利益は必ずしも重大なものとはいえないこと、本件規則変更は、必ずしもその経済的な必要性がないということはできないこと、従業員は褒賞をいつまでも保有し、これを発生(精勤)時期とはかけはなれた時点の賃金の額に基づいて精算したり、発生(精勤)時期とはかけはなれた時点で褒賞休暇として使用することができるという本件規則変更前の制度は、(中 略)。
 あまり合理的ではないこと、本件規則変更には見返り措置があり、従業員は本件規則変更により被る不利益をこの見返り措置により相当程度補うことができること、被告ら会社は、褒賞の保有日数の制限に関し、労働組合と交渉を重ね、その結果、五労組とはその旨の合意に達したこと、従業員の多くは本件規則変更を了承していること及び被告ら会社の本件規則変更当時の労働条件は電機業界の他社と比べて良好であったことを総合すると、本件規則変更にはこのような変更もやむをえないと是認しうる合理性があるということができる。