ID番号 | : | 01516 |
事件名 | : | 地位保全金員支払仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 近代ビル管理事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務態度不良、配転拒否、マンション入居者との論争による会社の信用失墜等を理由に懲戒解雇されたマンションの夫婦住込管理人が、右懲戒解雇は不知の就業規則に基づくものであり無効である等として地位保全等求めた仮処分申請事件。(申請却下) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号,106条 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則の法的性質・意義・就業規則の成立 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤 |
裁判年月日 | : | 1983年3月11日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和57年 (ヨ) 735 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働判例406号38頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔就業規則―就業規則の法的性質〕 申請人らは、右各就業規則が、申請人らが雇傭された後に定められたものであること、申請人らの了知できるよう掲示や配布がされなかったこと及び申請人らの同意を得て定められたものでないことを理由として、申請人らに対しては効力を生じないと主張するのであるが、労働者の労働条件を定型的に定めた就業規則は、それが合理的な労働条件を定めたものである限り、使用者と労働者との間の労働条件はその就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、法的規範としての性質を認められているものと考えられるから、労働者は、就業規則の存在及びその内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたか否かを問わず、当然にその適用を受けるものと解すべきである(最高裁判所昭和四三年一二月二五日大法廷判決・民集二二巻三四五九頁参照)。そして、前記各就業規則を通覧すると、その内容は各種ビル管理会社における労働条件を定型的に定めたものであって、格別不合理な労働条件を定めた規定は見当らないから、申請人らの主張する事情があったとしても、申請人らにおいて右各就業規則の適用を拒むことはできないものといわなければならない。 〔懲戒・懲戒解雇―懲戒事由―職務懈怠・欠勤〕 以上に説示したところによって考えると、被申請人の主張する解雇事由のうち、申請人らの指示命令違反の点についてはこれを認定することができず、申請人逸勢が管理業務を怠ったとの点についても、前記三(三)に認定した程度であってみれば、これのみで懲戒解雇の事由になるものとは考え難いけれども、申請人らのその余の各所為は、被申請人の従業員就業規則に定める服務規定に違背するものであって、同規則第四一条第三、第六及び第一一号に該当するのに、改悛の情が認められないとき(同一四条五号)、及び勤務成績が著しく不良で、被申請人に著しく損害または信用失墜を与えたとき(同条二号)に当るものというべきであるから、被申請人が同規則第四二条に基づいてなした申請人らに対する本件懲戒解雇処分はその理由を具備するものとしなければならない。 |