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ID番号 01528
事件名 雇用関係存続確認請求事件
いわゆる事件名 京都市事件
争点
事案概要  従前の勤務時間を不利益に変更する市長の訓令(就業規則)に反対して争議行為を指令したことを理由として解雇された市職員が雇用関係の存続確認を求めて争った事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法15条,
体系項目 労働契約(民事) / 労働条件明示
就業規則(民事) / 意見聴取
裁判年月日 1949年10月20日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 昭和24年 (ワ) 147 
裁判結果
出典 労働民例集7号56頁
審級関係
評釈論文
判決理由  〔労働契約―労働条件明示〕
 原告は労働基準法第十五条を根拠として就業時間を変更するに際しては、これに伴う給与面の影響について明示するを要すると主張するものであるが、同条は使用者が個々の労働者との間に労働契約を締結するに当ってしなければならない義務を定めたものであって、本件の如く就業規則たる性質を有する服務規程を変更するが如き場合には適用のないものであることは同条の文言と内容位置と体裁並びにその立法精神に照し疑問の余地のないところである、これと反対の見解に立つ原告の主張には従うことが出来ない、尤も労働時間の変更はこれと直接関連を有する賃金に影響を及ぼすものであるから労働時間に関する就業規則を変更するに当つては労働条件について労働者に疑念が起らないように使用者は、これに伴う賃金の影響をもあわせ説明する誠意と親切を持つべきものであろう。
 〔就業規則―意見聴取〕
 凡そ就業規則は使用者が作成する当該事業場の就業に関する規則であり使用者の事業組織を統制する地位から派生する権限に基づき、使用者が一方的に作成し変更し得るものである、その作成変更された規則は現に効力のある労働協約並びに労働基準法その他の法令に牴触しない限り有効性を否定されない労働基準法第九十条は使用者は就業規則の作成変更について組合の意見を聴くことを命じてはいるが、勿論組合の意見に拘束せられることを予想するのではない唯就業規則の内容如何は労働者の利害に関係するところが大きいし事業設備は労働力と結びついてこそ始めて組織体としての社会的機能を発揮し得るものであるが故に就業規則の作成変更にあたっては労働者の正しい意向が規則に反映し採入れられ労働者の積極的な支持のもとになされることが望ましいので、労働者の意見を聴くという手続を取らせることにしその違反には制裁を以て臨み間接にこの手続を強制しているのである。以上の観点からして労働者の意見を聴くことは就業規則の作成変更が有効であるがための要件ではないと解するわけである。