ID番号 | : | 01549 |
事件名 | : | |
いわゆる事件名 | : | 幸袋工作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合執行部の闘争方針に満足せず組合青年部を中心に一斉休暇闘争を計画・指導した申請人らが就業規則所定の「故意に作業能率を阻害したとき」という懲戒解雇事由に該当するとして懲戒解雇されたため、地位確認と賃金支払の仮処分を求めた事例。(却下) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号,106条 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則の周知 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1967年2月13日 |
裁判所名 | : | 福岡地飯塚支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和40年 (ヨ) 32 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労経速報598号15頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔就業規則―就業規則の周知〕 被申請人会社の就業規則は、その綴りが組合支部事務所に備え付けられ、或いは改正の都度、その全部若しくは改正部分が会社発行の所報中に掲載され、各職場に配付、備え付けられる等、少くとも会社従業員が容易に知りうる状態にあったことが疎明され、他にこれを覆すに足りる資料はないから、被申請人会社としては、一応、就業規則の周知方法を講じたものと称するのが相当であり、のみならず、前掲証拠によれば当該就業規則は既に従業員側にその意見を求めるため提示され、かつ、その意見書が附されて届出られたものであることが疎明されるから、爾後になされた右周知方法にいささか欠ける点があるとしても、このため直ちに就業規則の効力を否定する理由とは解し難い(最高裁判所昭和二七年一〇月二二日判決、最高裁判所民事判例集第六巻第九号八五七頁以下参照)ので申請人らの右主張は失当である。 〔懲戒・懲戒解雇―懲戒事由―違法争議行為・組合活動〕 以上の諸事実並びに弁護の全趣旨を綜合して判断すれば、申請人X1、同X2両名はその動機の点において必ずしも判然とはしないけれどもすくなくとも当時の労使関係の情勢から考えて、被申請人会社に打撃を加える目的をもって意思連絡のもとに、青年部員を中心とした組合員により昭和四〇年五月一七日に一斉有給休暇ストを実施しようと企て、申請外A、同B、同C、同Dらとも連絡をとりその協力を得て、主として青年部員を中心とした組合員に対して、恰も組合支部青年部の指令であるかのような言動をもって、同日の休暇ストを通報し、有給休暇をとることを慫慂し、若しくは休暇ストに同調を求めたことが一応推認され、(中 略)。 それ故、昭和四〇年五月一七日に一〇六名に上る多数の欠勤者(うち有給休暇申請者九六名)が出たのは申請人らの前示行為の結果であることが明白である。 (中 略) そうだとすれば、被申請人会社にその主張のとおりの就業規則が存することは、当事者間に争いがないので、申請人らの前示行為が少くとも就業規則第六三条第六号の懲戒解雇事由「故意に作業能率を阻害したとき」に該当することが明白であり、さらに申請人らの前示行為の態様とその結果とに鑑みれば、申請人らの責任は重大であって、被申請人会社が今回申請人らを懲戒解雇処分にしたのは相当であり、情状を無視した苛酷なものとはいい得ない。 |