ID番号 | : | 01564 |
事件名 | : | 仮処分特別抗告事件 |
いわゆる事件名 | : | 三井造船事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 就業規則中に同規則を改正するには組合との協議を要する旨の規定があるにもかかわらず使用者が組合との協議をなさずに一方的に就業規則を改正したとして、労働組合が右改正就業規則の効力停止の仮処分を求めた事件の特別抗告事件。(労働者敗訴) |
参照法条 | : | 労働基準法89条 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則の法的性質・意義・就業規則の成立 就業規則(民事) / 就業規則の変更と協議条項 |
裁判年月日 | : | 1952年7月4日 |
裁判所名 | : | 最高二小 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和25年 (ク) 65 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 民集6巻7号635頁/労働民例集3巻3号275頁/裁判所時報112号9頁/裁判集民7号13頁 |
審級関係 | : | 控訴審/01568/広島高岡山支/昭25. 6. 2/昭和25年(ラ)2号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 就業規則は本来使用者の経営権の作用としてその一方的に定めうるところであって、このことはその変更についても異るところがない(労働基準法九〇条参照)、勿論労使間の合意により、その変更を労使双方の協議により行う旨定めることは何等差支えなく、本件も恰もかかる定めがある場合に該ることは明であるけれども、その定めは単に労使双方の協議により作成された就業規則中においてなされたものであって、労働協約またはこれに基く経営協議会規則等における定めではなく、しかも労使間の協議調わざる場合の措置等について何等考慮を払った形跡がないというのであって、この事実と上記の如く就業規則の制定権が元来使用者側にあるという事実とに鑑みれば、前記就業規則中の定めは、単に使用者が就業規則を改正するについては労働組合と協議すべき義務を負担するという趣旨たるに止まり、これが協議を経なかったとしても、それは右義務の違反たるは格別(原審の認定によれば五日間の回答期間を附しており、従って使用者の独断専行による改正ではないと認められる)、これをもっては規則改正の効力を左右する趣旨のものではないと解するのを相当とする。そして右就業規則を以上の如く解釈することは、何等団体交渉権を否定したことにはならない。蓋し団体交渉による就業規則中の定めを常に抗告人主張の如く、解釈しなければならぬ何等の根拠もないからである。 |