ID番号 | : | 01565 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 三菱化工機事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働協約および就業規則の双方に解雇了解条項がおかれている場合、労働協約が失効しても就業規則は効力を有しており、右条項違反の解雇の効力停止の仮処分申請が認容された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法93条 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則の法的性質・意義・就業規則の成立 就業規則(民事) / 就業規則と協約 |
裁判年月日 | : | 1950年2月22日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和24年 (ヨ) 3330 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集1巻1号47頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | (一)、就業規則はそれが適法に制定されたものである以上労使双方に対し法的拘束力をもつものである。このことは労働基準法第九十三条の法意からしても明らかである。 (二)、労働協約と就業規則に同一内容の条項が存する場合においても労働協約の失効により就業規則の右条項が当然に失効するものではない。労働協約は労使双方の意思の合致によつて、成立するものであるが、就業規則は労働基準法第九十条所定の手続を履むことを要するとはいえ、終局的には使用者の一方的作成に係るものであり、しかも両者その成立の意義を異にするものであるから、たまたま労働協約と就業規則とに同一内容の条項が存するとしても、両者必ずしもその運命を共にすべきいわれがない。もっとも就業規則は労働協約に規定されていない細部事項を規定する場合が多いであろうが、両者の内容が重複することはなんら妨げなく、この場合当該事項は労働協約及び就業規則により二重の拘束を受けるが、労働協約が失効しても、就業規則の当該条項が改廃されない限り、依然としてその拘束を受けるものというべきである。 今本件についてこれをみるに、前記就業規則第十七条は被申請会社と申請人等組合との間に締結された労働協約第十七条と同趣旨の内容を包含し、右労働協約は昭和二十四年七月三十一日限り失効したことは当事者間に争ないが、被申請会社が前記就業規則の適法な改正手続を執れば格別、単にその改廃を欲する意思の表明だけで、就業規則は改廃されるものではないから、適法な変更手続の行われていない本件にあっては、前記就業規則第十七条の規定は労働協約の失効に関わりなく、有効に存続するものといわなければならない。 |