ID番号 | : | 01574 |
事件名 | : | 停職処分無効確認給料支払請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 全国社会保険協会連合会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者である病院による配転命令その他の職務命令の拒否を理由に停職処分を受けた看護婦らが、右停職処分は懲戒権の濫用ないし不当労働行為にあたる等としてその無効確認等求めた事例。(請求認容) |
参照法条 | : | 労働基準法2章,89条1項9号 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則と協約 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1968年8月14日 |
裁判所名 | : | 千葉地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和40年 (ワ) 128 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集19巻4号953頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔就業規則―就業規則と協約〕 有効期間の経過により労働協約が失効するのは当然であって、失効後もその効力を保有するとは考えられない。尤も懲戒は人事に関する事項ではあるが、一面労働者の待遇に関する事項でもあるから、労働協約に規定されていれば、協約失効後も一応それが個別的労働関係規制の基準となるといえるが、それは新たに懲戒条項が定められるまでの基準にすぎない。ところで、懲戒処分の如き賞罰に関する人事は、使用者が経営秩序を形成、維持する権限および責務に基づいて行われるもので、本来使用者の権能に属し、労働契約の直接の効果として行使される性質のものではないから、使用者は就業規則により、企業秩序の維持、業務の正常な運営に必要な限度において、失効した労働協約の懲戒条項と異る懲戒規定を設けることができるものと解するを相当とする。 〔懲戒・懲戒解雇―懲戒事由―業務命令拒否・違反〕 高尾病棟からの配転を一人に止め、他の一名は外来から出すようにとの高尾病棟の看護婦らおよび労働組合の要請に対し、病院側は、高尾病棟は看護婦三人で賄うことができると言うだけで、右配転の理由と必要性を具体的に説明しなかったことが認められるので、同原告らが病院の処置に納得せず、疑念を懐いたのには無理からぬものがある。また、原告Xの早番、夜勤の不就労は看護体制および職場秩序を乱すものではあるが、同原告らは日頃勤務を共にし、指導を受けてきた原告Xの家庭事情を思い、早番、夜勤をしなければならなくなる原告Xに同情し、労働組合の指示により、配転拒否の挙に出たのであって、この点懲戒処分に際し斟酌されるべきである。これらの事実と同原告らが準看護婦であることを考え合せれば、同原告らに対する停職処分は著しく酷に失し、懲戒権の濫用といわざるをえない。 (中 略) 同原告らに対する停職処分はその効力を生じないとすべきである。 |