ID番号 | : | 01590 |
事件名 | : | 雇用関係存在確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 千代田生命保険事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 生命保険の社員配当金等の横領を理由として懲戒解雇された保険会社支部長が、右横領の事実はなく、また懲戒手続に不備があり右懲戒解雇は無効であるとして雇用関係の存在確認等求めた事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為 |
裁判年月日 | : | 1984年6月29日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和56年 (ワ) 13691 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例434号24頁/労経速報1200号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇―懲戒権の限界〕 被告会社の賞罰規則第七条は、「懲戒処分は確証にもとづいて行い、かつ、処分決定前に文書または口頭により本人に弁明の機会を与える。」と規定していることが認められ、この認定に反する証拠はない。ここにいう「確証」が何を意味するかについては、賞罰規則において何らの定めはないが、懲戒処分が安易に行われてはならず、懲戒事由の存在についての確実な証拠に基づいて行われなければならないとの当然の事理を明らかにした趣旨と解するのが相当である。そこで、被告会社が本件解雇をするにつき「確証」があったか否かを検討すると、前記認定のように原告が費消横領の事実を認めた始末書(乙第一号証)及び受領書が自宅より発見されたのではなく、後に顧客に書いてもらったものであるとの始末書(乙第二号証)を主たる証拠とし、これに被告会社における調査結果に基づいて本件解雇がされたものであって、懲戒事由の存在についての確実な証拠があったものと認めて差し支えない。よって、この点に関する原告の主張は失当である。 〔懲戒・懲戒解雇―懲戒事由―職務上の不正行為〕 原告は前記のように、被告会社大原支部長として、自己の保管に係る社員配当金等合計三二万二三一四円を費消横領したと疑うに足りる相当な理由があったのであって、生命保険業という特に金銭の取扱いについての厳正な態度の保持が要求され、信用の保持が求められる会社の支部長として極めて遺憾な行為であって、右就業規則の各条項所定の懲戒解職の理由に該当するものというべきである。また、右の事実関係からすれば、解雇権の行使が濫用であると認めることもできない。 |