ID番号 | : | 01611 |
事件名 | : | 仮処分控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 八幡製鉄事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社の事業付属寄宿舎に居住する寮生が外来講師を招いて講演会を強行したことを理由として退寮処分に付されたことに対して右処分が無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法10章 |
体系項目 | : | 寄宿舎・社宅(民事) / 寄宿舎・社宅の利用 / 寄宿舎生活の自由・自治・管理権 |
裁判年月日 | : | 1961年3月28日 |
裁判所名 | : | 福岡高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (ネ) 789 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集12巻2号153頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 横井芳弘・新版労働判例百選〔別冊ジュリスト13号〕256頁/青木宗也・労働判例百選〔ジュリスト252号の2〕228頁 |
判決理由 | : | 使用者は、寄宿舎の施設の維持に関する物的管理権とともに、共管事項としての寄宿舎の共同生活上の秩序の維持に関する人的管理権を有する。 ところで、寄宿労働者の私生活上の自由と使用者の物的又は人的管理権とは、相互に関連する場合が多いので、その一方を強調すると他方が害されることになる。それ故両者の間に一定の合理的限界が必要である。その限界は、寄宿労働者の私生活上の自由及び自治の原則と使用者の管理権との法上の評価に従って定まるべきものである。このような観点から考えると、使用者の物的管理権は施設の維持に必要な限度に止め、その人的管理権も寄宿舎を設置した目的を達成するに必要やむを得ない限度に止めなければならない。従って使用者がこの限度を超えて労働者の私生活に規制を加えることは違法であり、労働者はその正当な範囲における管理上の規制に服しなければならない。 |