ID番号 |
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01614 |
事件名 |
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仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 |
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日本アセテート事件 |
争点 |
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事案概要 |
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事業付属寄宿舎の部屋替えの実施を理由とする退寮命令に従わない従業員に対する懲戒解雇につき、効力停止の仮処分申請がなされた事例。(却下) |
参照法条 |
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労働基準法10章 |
体系項目 |
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寄宿舎・社宅(民事) / 寄宿舎・社宅の利用 / 寄宿舎生活の自由・自治・管理権 |
裁判年月日 |
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1963年3月11日 |
裁判所名 |
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名古屋地 |
裁判形式 |
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判決 |
事件番号 |
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昭和37年 (ヨ) 1251 |
裁判結果 |
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出典 |
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労働民例集14巻2号416頁 |
審級関係 |
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評釈論文 |
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川崎武夫・法律時報36巻12号96頁/大脇雅子・季刊労働法52号91頁 |
判決理由 |
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本来、事業附属の寄宿舎は会社所有の施設であって、会社がその管理権を有することは言うまでもないところであり、従って会社はその管理権に基き会社従業員たる寄宿舎居住者をして寄宿舎内の特定の部屋を使用させるものであるが右使用継続中会社が部屋替をなすに当っては、寄宿舎の使用関係が会社と従業員たる寄宿舎居住者との間の部屋毎の使用貸借契約に基くものとみるべきであって部屋替は右契約内容の変更となるから部屋替が交替勤務者の混室を避ける等法令上の必要による場合を除き原則として寄宿舎居住者との合意の下に部屋替を行い得るものというべきである。被申請会社一宮工場寄宿舎についても右の如くみるべきものであって、被申請会社はその寄宿舎に対する管理権に基いてその必要あるときは原則として寄宿舎居住者との合意の下に部屋替を行い得るものであるが、これに反し被申請会社一宮工場寄宿舎自治会は証人Aの証言によって成立の認められる乙第三号証の記載によれば右寄宿舎居住者が寄宿舎内における共同生活の秩序を保ち、相互の文化的向上を図ることを目的として自治的に結成された団体に過ぎないものであるから、右自治会が固有に寄宿舎の管理権を有するいわれはなく、従って部屋替をなす権限をも有するものではない。ただ部屋替につき居住者より委任された場合に会社と協議して会社の承認の下に部屋替を実施することができるに過ぎないものというべきである。前記疏明されるところによれば、従来部屋替は自治会の発意によると被申請会社の都合によるとを問わずすべて被申請会社が寮生との合意の下に行ったものであり、ただ寮生の希望を容れてその細部の実施方法を自治会に任して行わせたことがあるに過ぎないのであって、他に自治会が自主的に部屋替を行い得る権限を有することの疏明はない。 |