ID番号 | : | 01628 |
事件名 | : | 附加金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | トリオ工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 被告会社から解雇された原告らが、被告が予告手当の支払を遅延したことを理由として附加金を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法114条 |
体系項目 | : | 雑則(民事) / 附加金 |
裁判年月日 | : | 1955年7月12日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和28年 (ワ) 7864 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集6巻4号494頁/時報60号21頁/ジュリスト93号85頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | しかして労働基準法第百十四条は、予告手当等の給付につき、使用者の履行を確実にさせるためと、使用者が右給付義務に違反した場合の制裁を労働者の利益に帰せしめるために設けられたものと解するを相当とするが、附加金の支払につき、労働者の請求にかからしめた趣旨に照して考えれば、労働者が自ら裁判所に対する附加金請求権を放棄した場合、裁判所は使用者に対し附加金の支払を命ずべきものではないといわねばならない。 成立に争のない乙第二ないし第四、第六号証並びに原告本人及び被告代表者Aの供述を綜合すれば、昭和二十八年九月二十二日被告会社二階において、従業員らを代理した原告本人と被告代表者とが双方とも弁護士立合いの上、本件解雇に伴う一切の紛争を解決するため話し合った結果、原告は被告会社の履行につき不安を持ちつつも結局被告主張どおりの協定が成立し、協定書(乙第二号証)を作成したことが認められる。原告は当事者間に附加金の支払については協定は成立しなかったと主張し、それを裏ずけるような原告本人の供述もあるけれども、右供述は同人の他の供述部分と綜合して判断するときはたやすく信用できないし、同人の供述によっても附加金については特に留保する旨の協定もなく、右協定の際に附加金の話は全然出なかったことが認められ、しかも右協定には被告は原告に対して訴訟費用の援助として金三万円を支給することまで含まれている点などから考えて、附加金の支払だけについては協定を留保するが如きは通常の事態とは考えられず、この点につき首肯するに足る証拠の認められない本件においては、右協定を結ぶことによって本件解雇に伴う一切の紛争は解決し、原告は暗黙のうちに裁判所に対する附加金支払命令の請求をしないこととしたものと認定するのが相当である。 |