ID番号 | : | 01635 |
事件名 | : | 解雇予告手当金等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | エビス文字盤製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 予告期間を置かずに即時解雇された従業員が、労働基準法二〇条の解雇予告手当と労働基準法一一四条の附加金の支払等求めた事件の控訴審。(控訴一部認容。予告手当と附加金の請求のみ認容) |
参照法条 | : | 労働基準法20条1項,114条 |
体系項目 | : | 雑則(民事) / 附加金 |
裁判年月日 | : | 1968年6月12日 |
裁判所名 | : | 横浜地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (レ) 92 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集19巻3号796頁/時報526号84頁/タイムズ226号133頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 瀬元美知男・ジュリスト441号228頁 |
判決理由 | : | 本条の附加金制度が特定の金銭支払義務の不履行に対する公法的制裁であるとの前記趣旨に徴すれば、労働者が裁判所に訴の提起をするまでに使用者による予告手当の支払が完了すれば裁判所も附加金の支払を命じ得ないが、訴提起時より後に予告手当の支払が完了しても使用者は附加金の支払を免れえないものと解するのが相当である。けだし予告手当金を訴提起後でも裁判所が命令を発するまでに支払えば裁判所はその支払を命じえないと解すれば使用者は口頭弁論の最後の段階で予告手当の未払金を弁済することによって法一一四条の適用を免れてしまい、かくては本条は実質上空文化し、自発的に所定の支払をさせようとするその趣旨目的を達しえなくなるからである。そして以上説示の点を勘案すれば、裁判所が使用者に命じ得る附加金の額は訴提起の時の予告手当の未払額と同一と解するのを相当とする。 ちなみに船員法一一六条(四四条の三)は、船員が予告手当の支払をうけずに即時解雇された場合には、使用者は裁判所に対する訴の提起時において未だ支払われていない予告手当金に相当する金員を付加金として支払わねばならない旨定している。本件のような一般労働者については、この点についての特別規定は見当たらない。しかし、この場合に船員法の場合と別異に解すべき特別の理由も見出せないし、船員労働者との公平の見地からして一般労働者の場合にも、右船員法の規定の場合と同様、先に述べたとおり、訴提起の時即ち訴状が裁判所に提出された時(前記船員法一一六条は裁判所に対する訴による「請求の時」と規定する)における予告手当の未払額をもって、裁判所の命じ得る付加金の額と解すべきである。 |