全 情 報

ID番号 01638
事件名 賃金及び解雇予告手当等請求事件
いわゆる事件名 斉藤建設工業事件
争点
事案概要  会社により解雇された従業員が、解雇予告手当等の不払を理由に、これら未払金とあわせて附加金の支払を求めた事例。(解雇予告手当と附加金のみ認容)
参照法条 労働基準法20条1項,114条
体系項目 雑則(民事) / 附加金
裁判年月日 1969年4月16日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (ワ) 8935 
裁判結果 一部認容
出典 時報580号82頁
審級関係
評釈論文
判決理由  右附加金に対する遅延損害金は、附加金の支払義務が裁判所のその支払を命ずる判決の確定によってはじめて発生するのであるから、それ以前に発生する余地はなく、その後の分についても特に予め請求をなす必要があると認められない。
 本件訴が昭和四二年八月二三日に提起されたことは記録上明らかである。
 しかしながら、《証拠略》を併せ考えれば、原告は被告から解雇通告を受けると、その日のうちに、未払賃金等の請求をなし、被告からその全部の支払を受けたが、時間外勤務手当について計算の誤りから、四三円不足することを知り、同月一四日発送の書面で、被告に対し、これが支払請求をなしたのに対し、被告から同月二五日付で郵送され、同月二七日受領したものであることが認められる。ところで、被告に本件訴状が送達されたのは、同月三〇日であること記録上明らかである。
 法が、賃金等の不払によって当然附加金の支払義務を発生させることなく、裁判所に対する請求を必要としたのは、できる限り使用者をして自発的に賃金等の支払をなさしめようとしたものというべきであるから、労働者の訴提起を原因とせず、任意にその支払がなされたときは、附加金制度の趣旨は達成されたと見てよく、裁判所は附加金の支払を命ずることができなくなると解すべきである。たとえ、訴状提出時までに賃金等の支払がなされなければならない。
 としても、本件にあってはその高、前記支払の事情等よりすれば、附加金の支払を命ずる意義ないし必要性を欠くといわなければならない。