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ID番号 01663
事件名 日直手当請求事件
いわゆる事件名 宮城県教育公務員事件
争点
事案概要  上告人らが日直手当の請求をしたところ被上告人が時効により請求権が消滅しているとして支払を拒絶したのでその支払を求めた事例。(上告棄却)
参照法条 労働基準法11条,115条
地方公務員法58条2項,3項
会計法30条
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 賃金請求権と時効
雑則(民事) / 時効
裁判年月日 1966年12月8日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (オ) 1080 
裁判結果 棄却
出典 民集20巻10号2059頁/時報470号15頁/教職員人事関係裁判例集5号247頁/裁判集民85号611頁
審級関係 控訴審/01658/仙台高/昭38. 2.28/昭和37年(ネ)54号
評釈論文 原田尚彦・法学協会雑誌84巻12号1714頁/松岡三郎・民商法雑誌56巻6号1021頁/渡部吉隆・法曹時報19巻3号157頁
判決理由  一般職の地方公務員(以下職員という。)たる教育公務員の日直手当請求権が地方公共団体に対するいわゆる公法上の金銭債権であることはいうまでもないところ、地方自治法(昭和三八年法律第九九号による改正前のもの。)二三三条によって地方公共団体の支払金にも会計法三〇条が準用されるのであるから、地方公共団体の金銭債権又は地方公共団体に対する金銭債権で、「時効に関し他の法律に規定がないもの」は、五年間これを行使しなければ時効によって消滅することになる。ところで、地方公共団体の職員には、法律が特に適用を除外したものを除き、労働基準法の規定が原則として適用されると解せられるのであるが(地方公務員法〔昭和三四年法律第一三七号による改正前のもの。〕五八条二項、三項、労働基準法一一二条参照)、地方公共団体の職員の日直手当は、職員の時間外労働の対償たる性質を有するものであるから、労働基準法にいう賃金であると解すべきであり(労働基準法一一条参照)、労働基準法一一五条は「この法律の規定による賃金、災害補償その他の請求権は、二年間これを行わない場合においては、時効によって消滅する。」と規定しているので、同法一一五条の規定は、前記地方自治法二三三条において準用される会計法三〇条の「他の法律」の規定にあたるものといわなければならない。そして、前記地方公務員法五八条二項は、地方公共団体の職員に関しては、右労働基準法一一五条の適用を除外していないのであるから、地方公共団体の職員の日直手当請求権は、いわゆる公法上の金銭債権ではあるが、右労働基準法一一五条の規定により、二年間これを行使しなければ時効によって消滅するものといわなければならない。