判決理由 |
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本件疏明資料を綜合すれば、抗告人等は確たる根拠がないのにも拘らず風評をとらえて原決定に摘示してあるような記事を日本共産党A細胞機関紙及び同党A第一細胞機関紙に掲載し、且つ相手方会社の従業員に配布した事実、相手方が抗告人等の前記の行為を相手方の職員懲戒規定第一条第二号第三号後段、第六号、第二条第五号に該当するものとして、昭和二十五年二月九日懲戒解職の処分に附した事実を認めることができる。抗告人等は相手方職員懲戒規定の効力は争っていないし、又相手方が、その職員の非行、即ち雇傭契約を律する信義誠実の原則に背く行為があった場合に懲戒解雇を為し得ることは使用者の経営権の正当な行使として容認せらるべきものであるから、本件の争点は抗告人等の行為が前記職員懲戒規定に該当するか否かにある。而して抗告人等の前記行為は、相手方が人員配置転換を行うにあたり不当不正な施策を行った旨の風評をとらえて、相手方従業員に右風評を真実なるものの如く宣伝したものであるから、相手方がこれをもって、相手方会社の信用を害し、その業務の運営を妨げた行為であると判断し、前記懲戒規定に該当するものと認定したのは相当であると認められる。 |