全 情 報

ID番号 01731
事件名 仮処分控訴事件
いわゆる事件名 電電公社下関電報局事件
争点
事案概要  職場外の行為により公務執行妨害罪等で起訴されたことを理由に協約に基づき休職を発令された被控訴人が、右発令は裁量権を逸脱したもので無効であるとして地位保全等の仮処分を求めた事例。(一審 認容、二審 取消却下)
参照法条 民法1条3項
体系項目 休職 / 起訴休職 / 休職制度の効力
裁判年月日 1967年11月16日
裁判所名 広島高
裁判形式 判決
事件番号 昭和41年 (ネ) 279 
裁判結果
出典 労働民例集18巻6号1155頁/訟務月報13巻12号1554頁
審級関係 一審/04387/山口地/昭41. 9.26/昭和41年(ヨ)16号
評釈論文
判決理由  本件起訴罪名たる公務執行妨害罪および傷害罪の各法定刑が控訴人主張のとおりであることは公知の事実であるが、起訴事実の事案が軽微であるか否かは、かならずしもつねに法定刑の軽重によってのみ評価さるべきではないと解すべきところ、成立に争のない疏甲第八号証によれば、本件起訴事実の内容は、控訴人主張のとおりであることが疏明され、この疏明事実からすれば、本件刑事事件の事案は、それ自体、決して被控訴人の主張するように軽微であると言うことはできない。
 もっとも、前顕疏甲第八号証および弁論の全趣旨によれば、右犯罪が偶発的なものであって、職場外で行われ、かつ、被控訴人の職務上の誠実性に対する評価とかかわりがない事実が疏明され、これらの疏明事実のほか、公社の業務が公共性を帯びているとはいえ、その職員が身分上の取り扱いにおいて、公務員と全く同じでなくてはならないとは言えないこと、さらには、休職処分が実質上不利益な処分であること等が窺えるけれども、これらをすべて考慮に入れても、控訴人公社の下関電報電話局長が、本件が情状のとくに軽い場合に該るとは認めないで、本件処分を発令すべきであるとした判断に、裁量権の逸脱があるとまで認めることはできない。