ID番号 | : | 01751 |
事件名 | : | 雇用関係存在確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 七十七銀行事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 政暴法反対の争議行為を行ったことを理由に懲戒解雇、減給その他の処分を受けた従業員らが、右処分が不当労働行為にあたり無効であるとして、(1)雇用契約関係存在確認、(2)処分の付着しない雇用契約上の地位確認、(3)減給分の賃金の支払をそれぞれ求めた事例。((1)(3)認容、(2)却下) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1970年5月29日 |
裁判所名 | : | 仙台地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和37年 (ワ) 530 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集21巻3号689頁/時報616号37頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 光岡正博・法律時報43巻4号104頁/佐藤昭夫・判例評論146号24頁/籾井常喜・昭45重判解説179頁 |
判決理由 | : | 懲戒は個別的労働関係において遵守が期待される就業規則ないし服務規律違反について個別労働関係の主体たる地位においてその責任を問うものであるから、集団的労働関係にある労働組合の活動に参加した組合員の行為は、それが正当な組合活動であれば勿論、たとえ団体として違法な行為(殺人、放火、暴力行為等その違法が明白かつ重大でもはや社会的に組合活動と評価できない行為をいうのではない)であっても、労働組合の行為として不可欠のものと認められるかぎり、これを組合員個人の行為として懲戒責任を問い得ないのである。もし、組合の活動として行なった行為についてまで個人責任を追求できるとすれば、規律と統制を基礎とする団結の破壊を招く結果となるからである。その意味で組合の活動として行なった行為について懲戒責任を問い得ないということは団結権保障の法理の当然の帰結といわねばならない。 とりわけ、争議行為は、集団的性質が最も強く、しかも使用者の労務指揮から組合員の離脱において始めて成立するものであるから、服務規律によって企業秩序の確立する基礎自体が失なわれているのであって、たとえそれが前述の意味で団体的に違法であるとしても、服務規律違反を理由とする懲戒権の行使は許されないのである。このことは、組合幹部が機関活動として行なう行為についても当然いえるのであって、組合幹部の故に使用者との関係で特別に重い企業秩序維持に対する責任を負うべき合理的根拠はなく、したがって、組合幹部がその権限と義務に基づいて行なう行為、例えば争議行為の企画、提案大会における推進、争議中の指令、指導等はたとえその争議行為が違法であっても、機関の活動として団体たる組合自身の行為と評価すべきものであるから、個人として使用者から懲戒責任を問われるべき性質のものではない。 |