ID番号 | : | 01761 |
事件名 | : | 懲戒処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京中央郵便局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 職場内に無許可でビラを貼り、これを取り除こうとした上司に暴行を加えたとして減給または戒告処分を受けた郵便局職員らが、右各処分は不当労働行為ないし懲戒権濫用にあたり無効である等として懲戒処分の取消を求めた事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法89条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1971年3月18日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (行ウ) 80 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 時報624号87頁/訟務月報17巻6号956頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 阿久沢亀夫・判例評論151号26頁/西廸雄・公企労研究8号84頁 |
判決理由 | : | 郵便局庁舎などは、郵政大臣の管理に係る行政財産であって(国有財産法第三条、第五条)、その本来の目的である国の営む郵便事業の達成のために使用されるべきもので、庁舎管理者の詐可ある場合を除いては、何人も右目的以外のために使用することは許されないものである。郵政省就業規則第一三条第七項の規定は、郵便局庁舎などをその本来の使用目的に供することによって国の営む郵便事業の達成に資する目的から郵便局庁舎などに勤務する職員に対する服務規律として当該郵便局庁舎などにおける演説、集会、ビラの貼付等の行為を、その目的、内容、態様の如何に拘わらず、全面的に禁止、規制せんとするものであることが明らかである。 したがって、この程度の規制は、公共の福祉のため表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限であって、右就業規則第一三条第七項の規定を憲法第二一条に違反するものということはできないし、また憲法第二八条に反するものとすることもできない。 (中 略) 原告らは庁舎管理者の事前の許可を受けないで、本件ビラを庁舎に貼付または掲出したものであるから、前記の諸事情を合わせ考えても、原告らの本件ビラ貼付等は、その態様において違法たるを免れず、正当な組合活動の範囲に属する行為であると認めることはできない。 (中 略) 郵政省就業規則は郵政大臣により昭和三六年二月二〇日公達第一六号をもって定められ、郵政省に勤務する一般職に属する国家公務員であって、公労法第二条第一項第二号イに掲げる事業に係るもの(管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者を除く。)の就業に関する必要な事項を定めたもので、かつ、郵便局などの事業場においては、労働基準法第八九条に規定する使用者の作成する就業規則たる性質を有するものとせられていることが認められ、同規則第一三条は職場秩序の維持に関する服務規律を定めた規定であることが明らかである。したがって、郵政省就業規則は、郵便局などの事業場に勤務する現業郵政職員に対する関係においては、労働基準法第八九条に規定する就業規則たる効力を有するものというべきである。 しからば、東京中央郵便局又は武蔵野郵便局に勤務する現業郵政職員たる原告ら九名は、服務規律として郵政省就業規則第一三条第七項の規定を遵守すべき法律上の義務を有するものというべきところ、右就業規則の条項に違反してビラの貼付または掲出をなし、もって職場秩序の維持に関する服務規律を紊したのであるから、右原告らの行為は国公法第八二条第三号にいう国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行に該るというべきである。 |