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ID番号 01767
事件名 雇用関係存在確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 三田交通事件
争点
事案概要  二回にわたり乗車拒否をしたのを上司から注意されたのに反抗して懲戒解雇されたタクシー運転手がその効力を争った事例。
参照法条 民法1条3項
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1972年4月26日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和46年 (ネ) 115 
裁判結果 棄却(確定)
出典 時報668号91頁
審級関係 一審/04214/千葉地/昭45.12.22/昭和44年(ワ)192号
評釈論文
判決理由  控訴人は、控訴人の行為は、被控訴人就業規則第七二条第一三号にいう「職務上の指示命令に不当に反抗して事業場の秩序を乱したとき」に該当しない旨主張するので按ずるに、《証拠略》を総合すれば、昭和四四年一月一五日の午後一時頃と午後三時頃の二回にわたる控訴人の乗車拒否について翌一六日午前九時過ぎ頃被控訴人会社営業係長Aおよび同営業課長Bが会社の事務所で同総務課長C立会の上職務上控訴人に乗車拒否行為をしないよう注意したところ、控訴人は反抗的な態度をとって非を認めないので、さらに同日午前一〇時頃から専務室で、前記三名のほかD労働組合三田交通支部のE支部長、F副支部長、G書記長、H、I、Jの各執行委員らが立会って重ねて会社側のB課長らが控訴人に注意し、また組合側のE支部長らも乗車拒否をしないよう控訴人を説得したところ、控訴人は、「勝手にしろ、僕はやられたからやり返したんだ。今後もやられればやり返すだけだ。首にしたければしろ。組合を脱退するから紙を持ってこい。あしたから腹痛で二、三日休みだ。」などと言って、反抗的態度をとって退席したことを認めることができ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。
 右認定の事実によれば、控訴人は、単に一日に二回乗車拒否をして発見されたにとどまらず、被控訴会社の営業係長、同営業課長らより、これに関する職務上の注意を受けて反省しないのみか、かえって反抗的態度をとり、さらに乗車拒否行為を継続する旨を多数人の面前で公言してはばからなかったものであって、そのため職場の秩序を乱したものということができるから、控訴人の右言動は、前記就業規則第七二条第一三号に該当するものと解するのを相当とする。
 三、以上説示のとおりであるとすれば、被控訴人の控訴人に対する就業規則第七二条第一三号、第二〇号違反を理由とする本件懲戒解雇は、重きにすぎる処分であり、解雇権の乱用であるとは、解せられない。