ID番号 |
: |
01779 |
事件名 |
: |
地位保全等仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 |
: |
東京新聞社事件 |
争点 |
: |
|
事案概要 |
: |
違法争議行為を理由とする懲戒解雇の効力につき、懲戒権の濫用にあたり無効とした事例。 |
参照法条 |
: |
労働基準法89条1項9号 |
体系項目 |
: |
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 |
: |
1973年1月30日 |
裁判所名 |
: |
東京高 |
裁判形式 |
: |
判決 |
事件番号 |
: |
昭和44年 (ネ) 2490 |
裁判結果 |
: |
棄却 |
出典 |
: |
東高民時報24巻1号11頁/タイムズ298号426頁 |
審級関係 |
: |
|
評釈論文 |
: |
|
判決理由 |
: |
本件における一連の経過に即してみれば、被控訴人らのいわゆるY1執行部がことさらに闘争至上主義に固執して組合員を煽動して違法行為にいたらしめたというより、下からのもり上りもあったという面があることも否定できないことをあわせ考えると、被控訴人らの行為は、諸般の情況上やむなくして行ったものであって、その過程において前記のような若干の行き過ぎを生じ、その限度で違法行為の評価を受け、それに相当する責任を負うべきものというべきである。しかし、争議行為の一部に行き過ぎがあったとしても本来正当な範囲内にある争議行為までを含めて全体が違法になるものではなく、会社のこれらの争議行為全体から受けた損害のうちで違法行為による損害部分はこれを区別しなければならず、被控訴人らの責任についてもまた同様である。以上の観点に立って考察すれば、会社が、被控訴人Y1、同Y2、同Y3、同Y4に対してした本件各懲戒解雇処分は、いずれもその責任に対する結果としてはその間社会観念上相当なるべき均衡を欠き、重きに失するものであって、結局において懲戒権の濫用であると解せざるをえない。従って右の各処分は他の点について論ずるまでもなく、この点において無効とすべきものである。 |