ID番号 | : | 01824 |
事件名 | : | 懲戒処分無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 朝日新聞社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 新聞の発送業務を請け負っている下請会社(運送会社)が争議中のため、自らその発送業務を行おうとした元請会社(新聞社)の業務遂行を下請会社労組を支援してピケに参加して阻害した元請会社従業員に対する懲戒処分(一ケ月の停職)の効力が争われた事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1977年6月30日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和51年 (ネ) 1520 |
裁判結果 | : | 棄却(上告) |
出典 | : | 高裁民集30巻2号123頁/時報861号113頁/東高民時報28巻6号149頁/タイムズ359号302頁 |
審級関係 | : | 一審/03448/東京地/昭51. 6.23/昭和47年(ワ)11100号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | (2)ところで、A労組の実施した荷扱い業務のストライキは、その争議行為としてB会社に対するものであり、その態様はB会社が控訴会社から請け負った新聞発送に関する荷扱い業務につき、B会社の従業員たるA労組員においてこれを放棄し、かつ支援の外部団体員らとともに職場集会を開き、スト破り行為に対してはピケを張ってこれを防止することを目的としたもので、これに対しB会社において昭和四七年六月四日に行なわれたA労組のストに介入した事実は本件全証拠によるもこれを認めるに足りないし、他方、右A労組のストライキ実施に際し、前示認定のとおり、控訴会社はA労組の委員長からストライキ実施の通知を受け、その職制をAステーション及びBステーションに赴かせ、新聞発送業務のひとつである荷扱い業務が停滞しないように自らこれを行なうように指示しているが、控訴会社において右のような措置に出たのは、自己の新聞発送業務に支障を生ぜしめないためにしたものであってこれをもって右の争議行為の態様からみていわゆるスト破りのために行なったものとはいいがたく、ことにA労組員及びこれを支援する外部団体員の行なったピケ及びこれにともなう新聞発送業務の妨害が前示のように平和的説得の範囲を超えたかなり強力なものであって、控訴会社においてとうていこれを放置することができない状態であり、控訴会社の職制において再三にわたり、その妨害行為を中止するよう注意、警告したにもかかわらず、これを聞き入れなかったもので、このような事態のもとでは、A労組員及び支援団体員並びに被控訴人において控訴会社が自己の新聞発送業務に支障をきたさないように自ら荷扱い業務を行なうであろうことは当然予期しあるいは現にこれを行なったものであることを容易に知ることができたものであることが認められるにもかかわらず、あえて控訴会社の職制がとった措置をB会社のA労組に対するストライキへの介入行為と同視して控訴会社の業務を妨害することはとうてい正当な行為として是認することはできない。 (中 略) (4)被控訴人は、A労組の要請によりそのピケに参加し、終始、A労組の指揮と統制に従い行動したものにすぎないのであるから、その責任は、A労組のみが負うべきであって、被控訴人がこれを負うべきいわれはない、と主張するけれども、被控訴人がA労組において本件ストライキを行なうにあたってとくにその参加の要請を受けたことを認めるに足る証拠はなく、被控訴人が右のストライキにあたり前示認定の行動に出たのはその自発的なものであり、しかも被控訴人は当日午後六時三〇分ごろからAカウンター付近に赴きA労組員及び支援の外部団体員らがスクラムを組み、ピケを張る様子を眺め、そのピケの状態が控訴会社の新聞発送業務を妨害するものであることを知りながらあえて朝刊八版の荷扱の業務時間帯に入る前に行なわれた集会において控訴会社の従業員であることを明らかにして右のストライキを支援する演説を行ない、右第八版の印刷が開始されるやA労組員及び支援外部団体員らとスクラムを組み、ピケを張って控訴会社の正常な業務の運営を阻害したものであることは前示認定のとおりであり、被控訴人は右の者らと行動をともにしたとはいえ、自らの意思で控訴会社の業務阻害のストライキを煽動し、かつこれに加担したものであって、A労組の責任の背後に隠れ、控訴会社の従業員たる立場としての責任を免がれることはできないものというべく、この点に関する被控訴人の主張は理由がない。 |