ID番号 | : | 01828 |
事件名 | : | 従業員地位確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 総合花巻病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 一、無断で浴場を管理したこと、二、女子患者用の浴場をのぞきみしたこと、三、女子患者の入浴中の浴場に立ちいったこと、の三点を理由とする私立病院の職員(ボイラー焚き担当で、当時の労組副委員長)に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。(一審 請求棄却、 二審 控訴棄却、請求棄却) |
参照法条 | : | 民法1条3項 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損 |
裁判年月日 | : | 1977年1月18日 |
裁判所名 | : | 仙台高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和48年 (ネ) 336 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報946号41頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | およそ、労働者の秩序違反の行為が、顧客等の第三者に直接関係するところがなく、単に企業等の内部規律等に違反し、これに格別損害を及ぼすこともないような場合には、使用者の指導訓練により将来にわたってこれを是正する方が適当かつ得策である場合もあり得べく、また、かかる措置をとるべきにかかわらず労働者が組合活動等を行なった故をもって、殊更に解雇等の不利益取扱いに出でる場合には、右不利益取扱いは不当労働行為として排斥せらるべきものである。 しかしながら、前認定の事実によれば、本件においては、控訴人の行為により、第三者である入院患者ら多数の名誉自由が害され、これらの者の申述によって控訴人の本件行為が発覚したものであり、被控訴人が、かような事情あるにもかかわらず、解雇以外の措置を執るのみでは、被控訴人の社会的信用を失墜させ、被控訴人病院の維持、存続にも少なからざる障害を及ぼすことがうかがわれるところから、止むなく本件解雇に及んだものと認められ、これが本件解雇の決定的理由になったというべきである。 してみれば、本件解雇が不当労働行為として無効である旨の控訴人の主張は採用できない。 控訴人はなお、本件解雇は権利の濫用であるから無効である旨主張するけれども、これを認めるに足らないことはすでに認定判断したところから明らかであるから、この主張も採用できない。 |