ID番号 | : | 01884 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | ダイハツ工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 原告が工場廃止にともなう残務整理の途中組合事務所前におかれた組合の書類をつめたダンボールを持ち出したとして諭旨解雇されたため、その無効確認と賃金支払を求めた事例。(一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 民法1条3項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為 |
裁判年月日 | : | 1981年11月30日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和53年 (ワ) 3121 |
裁判結果 | : | 一部認容(控訴) |
出典 | : | 労経速報1104号5頁 |
審級関係 | : | 上告審/03002/最高三小/昭62. 1.20/昭和60年(オ)604号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | (三)のみならず、一般に、使用者の懲戒権の行使は、被用者の行為の程度、種類に応じて相当なものであることが必要であり、その行為が相当悪質で、解雇をするについて社会的に妥当性のある場合に限って、解雇することができると解すべきところ、本件において、原告が本件ダンボール箱を持ち出した行為が形式的には被告会社の就業規則七三条一項九号に該当するにしても、前記2に認定した事実に、(証拠略)、原告本人尋問の結果、並びに弁論の全趣旨によれば、本件ダンボール箱は、もともと組合所有のものであり、かつ、焼却されるものであったから、一般の物品の如く、被告会社において、将来これを利用して一定の経済的、社会的利益やその他の利益を挙げ、または、享受することを予定していたものではなく、したがって、被告会社がこれを喪失しても組合からその責任を追及されるとか、その他の社会的、経済的損害を被るようなものではなかったことが認められるし、また、原告が本件ダンボール箱を持ち出したことにより、現実に組合ないし被告会社が損害を受け、被告会社の業務に影響が生じたことについては何らの立証もないのである。そうだとすれば、原告が本件ダンボール箱を持ち出したことは、非難されるべきではあるが、これを被告会社の就業規則七三条一項九号の「許可なく会社の物品を持出し、又は持出そうとした」行為に該当するとして、原告を、懲戒処分としては二番目に重い諭旨解雇の処分にすることは、苛酷に過ぎ、著しく不当であって、解雇権(懲戒権)の濫用として許されないものというべきである。 |