ID番号 | : | 01907 |
事件名 | : | 地位保全金員支払仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 昭和恒産事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 貸付先の調査を十分しなかったこと等を理由に懲戒解雇された従業員が、右懲戒解雇は解雇権濫用に当り無効であるとして地位保全等求めた仮処分申請の事例。(一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1984年1月19日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和58年 (ヨ) 2010 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1182号11頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 右認定事実によれば申請人は昭和五八年一月一七日頃Aがヤクザと気づくことが可能であり、B、A、Cらの保証の下に別紙目録三の番号7ないし15の貸付を行った場合右債務者らがヤクザ関係者であることから債権回収が困難になると判断できたのに過失によりこれに気づかず貸付けたこと、同目録四の貸付は本社に報告し、その指示をまって行うべきであったのに、報告せず行ったことが一応認められ、右事実が就業規則第四八条第三号不注意又は怠慢により業務に支障を来たしたり、損害を与えたときに該当することは格別、就業規則第四九条第四号、第六号、第七号に該当するものではない。即ち、その第四号は「業務上の指示命令に違反し、会社の秩序を乱したとき」と規定されているところ、申請人が融資限度額を金三五万円とする通達に違反した貸付を行ったことが一応認められるが、右通達は一般的な準則と目すべきものであって、業務上の指示命令とは解することができないから第四号には該当しない。次に第六号は「故意又は重大な過失により会社の機密をもらし又はもらそうとしたとき」とあるが、申請人の右行為はこれには一見して該当しない。第七号は「故意又は重大な過失により会社の名誉・信用を傷つけ、又は重大な損害を与えたとき」とあり、申請人の前記行為は故意又は重大な過失により行なわれたこと、右行為により重大な損害を与えた旨の疎明はないから、第七号にもあたらない。 以上の次第で本件懲戒解雇は解雇理由がないのになされたもので、解雇権の濫用であって、無効である。 |