ID番号 | : | 01915 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 佐世保重工業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 不況対策として設置された外販事業部門に配転された係長が、外販事業の東北、北海道地区への進出の前提となる市場調査のための出張を命じられたが拒否したため懲戒解雇処分に付されたのに対し、地位保全等求めた仮処分申請の事例。(申請却下) |
参照法条 | : | 労働基準法2章,89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1984年3月30日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和58年 (ヨ) 3526 |
裁判結果 | : | 却下(抗告) |
出典 | : | タイムズ538号169頁/労経速報1184号3頁/労働判例429号32頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 労働契約において、労働者は一般的に使用者の指揮命令に従ってその労務を提供すべきものであるところ、疎明資料によれば、被申請人の社員就業規則には社員はこの規則を遵守するほか、諸規則・達示・その他上司のさし図に従い、誠実に会社の職務に従事しなければならない(第三条)、会社は業務の都合で、社員を転任・転勤または職場・職種を変更させることがある(第三九条一項)、社員は正当な理由がなければこれを拒むことができない(同条三項)旨定められていることが一応認められる。 そして、本件出張命令が前説示のとおり被申請人にとって緊急に必要なもので、かつ人選についても合理性のあることが一応認められること、出張命令の内容も営業部員に対する命令として苛酷なものとも認め難いものであること、申請人が本件出張命令を拒否する事由として述べた各事由及びそれに対する被申請人の対応の状況等を対比して考えてみると、一従業員として出張を断わるのも已むを得ないものと判断すべき社会的相当性や客観的緊急性があるものとは認め難いから、申請人が本件出張命令に従わなかったことは業務命令違反の評価を免れることができず、前記社員就業規則第六九条一三号及び一四号、第六八条四号後段に規定する事由に該るものということができる。 (中 略) 使用者が懲戒権を行使するには、処分の対象となる行為の動機、態様、結果等を考慮し、処分の内容が著しく均衡を失することのないよう配慮すべきであるが、前記懲戒事由該当の有無の項で説示したとおり本件出張命令拒否が重大な業務命令違反に該るうえ、本件解雇に至る経緯に鑑みると被申請人が懲戒解雇を以て臨んだことに配慮を欠いたと認むべき点はこれをうかがうことができない。 (中 略) 申請人の業務命令違反は被申請人の従業員の士気に著しい悪影響を及ぼし、職場の秩序を乱したものとの評価を受けても已むをえないものというべきであり、その他本件の疎明資料を検討しても、本件懲戒解雇が権利の濫用にあたることをうかがわせるに足るものがないから、結局、申請人の解雇権濫用の主張は理由がない。 |