全 情 報

ID番号 01919
事件名 退職金等請求事件
いわゆる事件名 日本興信事件
争点
事案概要  違法争議の指導、会社代表者からの二五〇〇万円に及ぶ金銭の騙取等を理由として懲戒解雇された従業員らの一人が、協約に基づき退職金および一時金の支払を求め、他方会社側は騙取された二五〇〇万円相当の損害賠償金の支払を求めた事例。(従業員の請求一部認容、会社側請求認容)
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務妨害
裁判年月日 1984年5月11日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (ワ) 6027 
昭和54年 (ワ) 11756 
裁判結果 認容
出典 労経速報1191号16頁/労働判例432号16頁
審級関係
評釈論文
判決理由  原告Xは、故意に被告会社の業務の遂行ないし能率を妨げ、回収資金送金命令(業務命令)に違反し、自己の職務上の権限を超えて専断的なことをしばしば行い、職場の秩序をしばしば乱したものであって、右は、就業規則三七条二、四、一一号、三一条、三二条二、八号に該当するものである。
 (中 略)
 被告ら三名の右の行為は、犯罪行為にも該当しかねないほど違法性の強いものであり、その行為は素行不良行為の極致ともいうべきもので、これにより会社内の風紀、秩序を著しく乱したことは明らかであって、原告Xには就業規則三七条三号該当の事由もある。
 (中 略)
 右は就業規則三七条三号に違反するものである。また、原告Xが何ら争議状態が存在しなくなったのに、残務整理を延引させる目的で他の残留従業員にサボタージュを指示し、被告会社の賃金明細を不明にさせる目的で他の残留従業員に会社の債権台帳の破棄を指示したことは、故意に会社の業務の遂行ないし能率を妨げたものというべきであり、右は就業規則三七条四号に違反するものである。
 したがって、被告会社が原告に対してなした本件懲戒解雇の意思表示が、何ら懲戒解雇事由がないのになされたものであるとか、或いは権利の濫用にわたるもので無効であるということはできないものである。