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ID番号 01924
事件名 懲戒処分無効確認等請求事件
いわゆる事件名 国鉄新津機関区事件
争点
事案概要  勤務変更に伴う講習拒否、日勤勤務拒否による長期欠勤を理由として懲戒免職処分に付された国鉄職員が、右処分は解雇権の濫用に当り無効である等として右処分の無効確認等を求めた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤
裁判年月日 1984年8月10日
裁判所名 新潟地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ワ) 811 
裁判結果 棄却
出典 労働判例441号52頁
審級関係
評釈論文
判決理由  前記1認定の諸事実によれば、原告は、所属上長たる新津機関区長の再三に亘る出勤命令に服さず、DE一〇の運転講習を受講せず、昭和五五年一一月一三日以降本件処分に至るまで一〇か月余りの期間に及んで不参欠勤を継続したものであり、右所為は前記就業規則第五条、職員服務規程第一条及び第七条に違反し、ひいては法三二条一項に違反するものといわなければならず、右は、就業規則第六六条第一号及び第三号、法三一条一項各号に該当するものである。そして、法三一条一項、就業規則第六七条第一項においては、懲戒処分として、(1)免職、(2)停職、(3)減給、(4)戒告の四種を規程しているが、いずれの処分を選択するかについては、使用者たる被告において懲戒事由に該当する行為の態様、原因、動機、結果、その他の諸般の事情を総合考慮して企業秩序の維持確保という見地から見て相当とする処分を選択するのであるが、その判断については、使用者の合理的な裁量が認められているものである。してみると、かかる裁量の逸脱、濫用の点を除外して(この点は後記認定のとおりである)判断する限り、被告のした本件処分は、各種の法規に適合したものというべきものである。
 (中 略)
 もとより一職員であっても、より望ましい勤務体制について上長に進言することまでもが許されないわけではないが、その限度を超えて、自己の意見が受け容れられるまで欠勤を続けるということは許されないものであり、原告の受講拒否・欠勤という行動は、その主観的意図を考慮しても、右の限界を超えたものと評さざるを得ず、受講拒否を正当化することはできないといわなければならない。以上の次第で原告の日勤勤務の欠勤及び講習不受講については、前記諸般の事情を考慮しても、いずれもそれを正当化するに足る合理的事由は認められないというのほかない。
 (中 略)
 昭和五五年一〇月二八日から同年一一月一二日までの原告の欠勤を事故欠勤と扱ったこと、その理由、同月一三日以降の欠勤を不参欠勤として扱ったことは前記三1(三)認定のとおりである。そして右扱いをとることが不適当であると認めるに足る証拠はない。
 (中 略)
 そうすると、原告の行為の態様、原因、動機、結果、原告が昭和三四年以来勤務してきた実績その他の諸般の事情を考慮しても、本件処分を選択したことは合理性を欠くものということはできず、本件処分が裁量の範囲を超えた違法な処分と解することはできない。したがって、本件処分には、無効事由やいわゆる解雇権の濫用があるということはできず、原告の主張は理由がないといわざるを得ない。