全 情 報

ID番号 01952
事件名 懲戒処分無効確認等請求事件
いわゆる事件名 サンデン交通事件
争点
事案概要  就業時間中に現金で食事をしたことが勤務時間中に私金の携帯を禁じた就業規則の定めに違反するとして減給処分を受けたバス運転手が、右事実はなく、また会社による事情聴取手続にも違法がある等として、右懲戒処分の無効確認等求めた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 労基法91条の減給
裁判年月日 1983年4月18日
裁判所名 山口地下関支
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (ワ) 171 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1157号18頁
審級関係
評釈論文
判決理由  右事実関係に徴すると、原告が問題の一月二九日正午頃に現金で食事をするのを目撃したA、B両名の証言ないし陳述及び右事実を認めた原告の被告補導課担当者らに対する陳述の証明力(その証拠能力等の問題については次項で述べるとおり)は極めて強固なものであるといわざるを得ず、これに対する反証として提出されている原告自身及びこれを支援する支部組合による調査結果は、次項においてその概要を述べるとおり、その主張、陳述の根拠自体が極めて薄弱、瞹昧であったり(例えばC、Dの支部組合の調査に対する供述)、関連性がうすいものであって(例えばEの供述や食堂のメモ)、前記目撃者の供述等によって得られる心証を動揺させるまでには至らず、結局のところ、本件事実の存在は動かし難いものと認めざるを得ないのである。
 (中 略)
 少なくとも原告に対する第二回目の事情聴取のあり方については、多少批判の余地がないではないけれども、既に第一回目の事情聴取の早い段階において本件事実及びその関連事実を供述していること及び本件事案の性質及び内容、原告の弁解(特に釣銭受領の日と現金使用の日との間に若干の間隔があり、かつ乗車時の私金所持の確認を怠る等、疑われても仕方がない事情を自ら招いていること)等の事実を全体的に観察すると、右事情聴取手続自体が、本件事実を認める旨の原告の陳述書の証拠能力ないし証明力を否定すべき程の違法なものということはいまだできず、この点に関する原告の主張は採用することができない。
 (中 略)
 そうすると、結局、本件事実の存在は優にこれを認めることができるものであるところ、(書証略)によれば、本件事実が被告主張の各規則に違背するものであることは明らかであり、他に、特段の手続上実体上の瑕疵も認められない本件においては、本件事実の存在を理由とする本件処分は適法かつ相当なものであり、これを無効とすべきいわれはないものといわざるをえない。