ID番号 | : | 01975 |
事件名 | : | 懲戒処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 福岡県教育委員会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 県教育委員会が争議行為を指導したことを理由として教員を懲戒処分にしたことにつき、右処分は市町村教委の内申なしに行われているとして、右処分の無効の確認等を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒手続 |
裁判年月日 | : | 1981年11月27日 |
裁判所名 | : | 福岡高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和53年 (行コ) 2 |
裁判結果 | : | 取消(上告) |
出典 | : | 高裁民集34巻4号329頁/行裁例集32巻11号2128頁/時報1026号30頁/タイムズ459号116頁/労働判例376号30頁/訟務月報28巻4号805頁 |
審級関係 | : | 上告審/04081/最高一小/昭61. 3.13/昭和57年(行ツ)78号 |
評釈論文 | : | 上野至・昭和56年行政関係判例解説393頁/中西又三・昭和56年度重要判例解説〔ジュリスト768号〕52頁/津山直登・地方公務員月報225号64頁/俵正市・教育委員会月報378号64頁 |
判決理由 | : | 地教行法は、市町村立学校に勤務する県費負担教職員の人事、特に任免その他の進退については、都道府県教委が独断で行うものではなく、服務監督権者である地教委の意思を反映させて主体的な相互の協力により都道府県単位における人事行政の適正かつ円滑な運営、あるいはまた教育の統一的水準の維持を図ろうとしたものであるというべきであり、右の趣旨にそって解釈すれば、同法三八条一項は、県費負担教職員について都道府県教委が任命権を行使するには、原則として地教委の内申を手続的に必要としたものと解される。 しかしながら、地教行法が、本来身分が市町村に属する県費負担教職員について、機関委任事務によりその任命権を地教委から都道府県教委に移行させ、かつ都道府県教委に地教委に対する指導助言、連絡調整を行うことができるとした(四八条、五一条)ほか、県費負担教職員の任免、懲戒等について制定された都道府県の条例の実施に関し、地教委に対する一般的指示権を与えている(四三条四項)ことからすると、同法は、かかる教職員の人事行政について最終責任を負う都道府県教委をして、服務上の監督権者として右人事行政について責任の一部を分担する地教委との密接な協働により、都道府県単位における人事行政に関する統一的処理を行わしめるよう意図したものであることが明らかであるから、都道府県教委の任命権の行使に地教委の内申を必要とした趣旨について、地教委の内申を任命権行使の絶対要件とし、しかもあらゆる場合において内申するか否かにつき地教委の自由裁量を認めることにより、都道府県教委の任命権の行使を地教委の内申に絶対的に拘束させようとしたものであるとは到底解することはできず、右のような人事行政に関する都道府県単位における統一的処理を要する事項について、都道府県教委から一般的指示権の行使により内申を求められた地教委は、内申をする義務があり、従って都道府県教委の最大限の努力にもかかわらず、なお地教委が右義務に違反して内申をしない場合には、都道府県教委は、例外として内申抜きで任命権の行使ができることを許容しているものと解するのが相当である。 |